子供の失敗後日譚
息子くんの無事を確認したあと、
俺は外に出て宮司さんへ連絡を入れた。
電話口の宮司さんの声は、
昨夜とは違い、厳しかった。
「まず、子供には“コックリさん”の危険性、
やってはならない理由、
そして今回は“たまたま助かった”だけだということを
しっかり理解させなさい」
言葉の一つひとつが重い。
続いて、さらに低い声で言われた。
「それから……
全てが終わったら神社に来なさい。
あなたにも伝えることがあります」
ああ、これは完全に怒られるやつや。
以前、宮司さんから
“怪異に深入りするな”
“素人判断で動くな”
と言われていたのに、
今回は自分から首を突っ込んでしまった。
叱られるのは当然や。
電話を切り、リビングに戻ると朝食が並んでいた。
食べ終わったあと、俺は息子くんの前にしゃがみ、しっかりと目線を合わせた。
「なあ、昨日のことやけどな……
ちゃんと話すで」
息子くんは不安そうにこちらを見る。
俺はゆっくり、
“危険性”
“やってはいけない理由”
“今回はたまたま助かっただけ”
その全部を、子供でも理解できるように、しかし誤魔化さずに伝えた。
息子くんは途中で半泣きになりながらも、最後まで聞き、小さく頷いた。
「……もう、やらん」
その言葉に、友人夫婦も深く息を吐き、ようやく表情が和らいだ。
これでひとまずは大丈夫や。
俺は荷物をまとめ、
友人宅を出て神社へ向かった。
神社に着くと、
社務所の前で宮司さんと巫女さんが待っていた。
二人とも、
昨夜とは違う“仕事の顔”をしている。
宮司さんは俺を見るなり、
静かに言った。
「……入りなさい」
社務所に入ると、扉が閉まった瞬間、空気が変わった。
そして……
俺は、
怪異に首を突っ込む者としての危険性
軽い気持ちで関わってはならない理由
今回がどれほど危なかったか
それらを、こってりと絞られた。
巫女さんも横で静かに頷きながら、補足するように言った。
「本当に……紙一重でしたよ。
あの子が無事だったのは、“偶然”ではありません。
あなたが動いたから助かった。
でも動き方を間違えれば、誰かが取り返しのつかないことになっていました」
俺は深く頭を下げた。
「……すみません」
宮司さんはため息をつき、しかし最後は少しだけ柔らかい声で言った。
「まあ……終わったことです。
次からは、必ず相談してから動きなさい」
その言葉に、ようやく胸の奥の緊張がほどけた。




