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子供の頃の不思議体験 2

翌日、放課後。僕ら三人は昨日の「秘密の場所」を目指して歩き出した。

「ほら、ここに矢印残ってる!」

「じゃあ次はこっちだろ!」

「昨日は絶対この道だったって!」

電柱や石垣に残したチョークの印を辿りながら、あちこち歩き回る。昨日の笑い声がまだ耳に残っているようで、僕らはわちゃわちゃと声を重ねた。

だが、進めば進むほど違和感が募る。

「……あれ? 壁の線、ここで切れてる」

昨日、帰り道に友達のひとりがふざけてチョークを壁に擦りつけながら歩いた。その白い線は確かに残っている。けれど、ある場所でぷっつりと途切れていた。まるでその先に家など最初から存在しなかったかのように。

「え、ここから先、昨日は廃屋があったよな?」

「絶対あったって! だって庭で遊んだじゃん!」

「でも…見えないんだよ。どこにもない」

僕らは日が暮れるまで探し回った。矢印を辿り、同じ道を何度も往復し、畑の脇や草むらまで覗き込んだ。けれど、廃屋は影も形も見つからない。

やがて空は赤から紫に変わり、街灯がぽつぽつと灯り始めた。

「やばい、もう帰らないと!」

「絶対怒られるって!」


慌てて家に戻ると、三人まとめて母親に叱られた。


「こんな遅くまでどこをうろついてたの!」

「昨日も今日も、何をしてるの!」


僕らは顔を見合わせ、言い訳もできずに黙り込んだ。

秘密の場所は、昨日の夕方ごと、どこかへ消えてしまったのだ。

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