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正月休みの終わりに2

上着を羽織り、鍵と財布をポケットに突っ込んで、

「まあ、どうせ面倒な話なんやろな」と思いながら玄関を出た。

車に乗り込み、エンジンをかけると、

冬の空気を押し返すように、低い音で気持ちよさそうに回り始めた。

友人の家までは三十分ちょっと。

今日はケルト音楽でも流していくか、と

スマホを繋いで民族調のリズムを車内に満たす。

正月休みの気だるさがまだ身体に残っていて、

アクセルを踏む足もどこか重い。

途中でふと思い立って、

「手ぶらもなんやし」とケーキ屋に寄った。

ショーケースの中から適当に見繕って、

箱を助手席に置くと、甘い匂いがふわりと広がった。

友人宅に着いたぞと連絡を入れると、

すぐに駐車場まで迎えに来てくれた。

いつも通りの顔をしているように見える。

けれど、どこか落ち着きがないようにも感じた。

オートロックの扉を抜け、

エレベーターで上の階へ。

廊下を歩き、友人が鍵を開ける。

その瞬間だった。

部屋の中から、

“空気の重さ”みたいなものが流れ出してきた。

湿気でも、匂いでもない。

温度が違うわけでもない。

ただ、そこに入ったら戻れない気がする

そんな、理屈のない拒否感が胸の奥で膨らんだ。


入りたくない


素直に、そう思ってしまった。

友人が振り返る。


「入ってええで。彼女も中におるから」


その声が、妙に遠く聞こえた

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