正月休みの終わりに1
正月休みも終わりが近づいてきて、
昼と夜の境目が少し曖昧になっていた。
朝は遅く起き、
昼はなんとなくテレビをつけっぱなしにして、
夜は夜で、眠くもないのに布団に入る気にもならない。
休みの前半はあれこれやることがあったのに、
後半になると急に“空白”だけが増えていく。
部屋の空気も、
外の冷たい風も、
どこか“動き出す前の静けさ”をまとっていた。
そろそろ仕事の足音が聞こえてくる。
そんな気配が、背中のどこかをじわじわ押してくる。
スマホをいじる指も重い。
通知が来ても、すぐに開く気になれない。
そんな、気だるい午後だった。
その時、スマホが震えた。
画面を見ると、仲のいい友人の名前が出ていた。
「……もしもし。あけましておめでとう。どうしたん」
そう言った瞬間、
友人の声の温度が、いつもと違うことに気づいた。
「ちょっと泊まりに来ないか?」
藪から棒だな、と思った。
空いてるし別に構わないけど、と返しつつ、
ふと気になって確認する。
「……彼女はいいんか? お前んとこ、今一緒やろ」
「ああ、うん。
ちゃんと話してる。
彼女も、お前に来てもらったほうがええって言ってる」
その言い方が妙に引っかかった。
“来てもらったほうがいい”とはどういう意味なのか。
普通なら「大丈夫」くらいで済むはずだ。
「で、何があったん」
「相談したいことがあるんだよ。
ちょっと変わってて……どうしたらいいか分からん。
見てもらったほうが早いと思う」
普段のあいつなら、
こんな回りくどい言い方はしない。
胸の奥がざわついた。
正月休みの気だるさが、
急にどこかへ消えていった。




