同期からの誘い4
結局その日は、仕事がまったく手につかなかった。
普段ならしないような単純なミスまでしてしまい、
指導員から「気持ちの切り替えも覚えていけよ」と軽く叱られた。
それでも、同期のことが頭から離れなかった。
どこにいるんだろう。
そんなことを考えながら迎えた週末の仕事終わり、
何気なく同期とのチャットを開いた。
その瞬間、心臓が跳ねた。
既読が付いていた。
「……え?」
思わず声が漏れた。
慌ててロッカーに走り、着替えを済ませて、
自分の上司が帰る前に事務所へ駆け込んだ。
「すみません、ちょっといいですか……
同期のチャット、既読ついてました」
上司は一瞬だけ目を見開き、すぐに真顔になった。
「……本当か?」
俺がスマホを見せると、上司はすぐに同期の班長へ電話をかけた。
「おい、例の件……既読ついたらしい」
短いやり取りのあと、上司は受話器を置いた。
「返信は?」
「まだです……」
「そうか……」
それだけで、事務所の空気が重くなった。
帰るに帰れなくなった。
彼女には
『遅くなる。来週埋め合わせする』
とだけメッセージを送った。
すぐに
『……わかった』
と不機嫌そうな返事が返ってきた。
(これはまた怒られるな……)
そう思いながらも、
今はそれどころじゃなかった。
上司と班長が揃って事務所に来て、
俺はその二人と向かい合って座った。
同期のチャット画面を開いたままのスマホを手に、
胸の奥がずっとざわついていた。
既読がついたのに、返信はない。
誰が見たんだ?
その疑問だけが、頭の中で何度も反芻していた。




