陽の光と共に 3
「まだ三、四時間あるし、車で待てばよかったな」
誰かがそう言って、みんなが笑った。
そのときだった。
ふと、違和感があった。
……なんか、一人多くないか?
俺たちは五人で来たはずだ。
でも、輪になって話している影が、どう見ても六つある気がした。
街灯もない海岸で、顔なんてほとんど見えない。
波の音と風の音が混ざって、
誰がどこに立っているのかも曖昧になる。
(いや、気のせいやろ……)
そう思いながらも、
胸の奥がざわつく。
新年のこんな時間に、
「おい、誰か増えてない?」なんて言い出す空気じゃない。
せっかくみんなで来て、
こうして笑ってるのに、
水を差すようなことは言いたくなかった。
だから黙っておくことにした。
そのまま会話は続いた。
「今年こそ彼女作るぞ」
「いやいや、まずは仕事やろ」
「俺は宝くじ当てたんねん。今年こそ」
「当たったら焼肉奢れよ」
「ええよ、百万円分な」
くだらない話ばかりなのに、
なんだか妙に楽しかった。
……ただ、その会話の中に、
どうしても聞き覚えのない声が混ざっている気がした。
低いような、若いような、
男か女かも分からない声。
でも、他の友達は一切そのことに触れない。
まるで、本当に五人しかいないかのように、
自然に話を続けている。
(俺だけ……?
いや、でも……さっきから確かに聞こえてるよな)
言うべきか、黙るべきか。
この場の空気を壊したくない気持ちと、
背中を撫でるような不安が、
胸の中でゆっくりせめぎ合っていた。




