表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/285

蔵に眠るひと 2

「……仕方ねぇなぁ」


思わずため息が漏れた。

年末で家の中は散らかってるし、

大掃除で腰は痛いし、

正直、外に出る気なんてまったくなかった。


「でも、お前んとこ……変な物とかはないんだろ?」


念のため確認すると、

電話の向こうで一瞬だけ沈黙が落ちた。


「いや……俺じゃ分からん」


「分からんってなんやねん。

 お前、そういう曖昧な言い方するとき、だいたいロクなことないやん」


「いや、マジでそうなんだって。

 なんとなく……“お前呼んだ方がええ”って思ってよ」


「なんとなくで呼ぶなや。

 こっちはもうコタツに根生えてんねんぞ」


「分かる。俺も出たくねぇ。

 でもよ……なんか、触りたくねぇ感じのが混ざってんだよ。

 説明しづれぇけどさ」


向こうの声が、

さっきまでの軽さを少しずつ失っていく。


「骨董品の価値とか、俺もそんな詳しいわけちゃうぞ」


「価値とかじゃねぇんだよ。

 なんか……“見てもらった方がええ”って感じがしてさ。

 俺じゃ判断つかねぇ」


「……はぁ。

 年末にそんな話持ってくんなよ。

 こっちはもう、今日の晩飯どうしようかってことで頭いっぱいやのに」


「悪いって。

 でも、頼むわ。

 お前しか思いつかねぇんだよ」


その言い方が、

懐かしい友人の“軽いお願い”というより、

どこか切羽詰まった響きに変わっていた。


「……で、明日空いてんのか?」


「空いてる。

 どうせテレビも特番ばっかだしな」


「なら、行くわ。

 場所だけ共有してくれ」


「今送る。

 あ、家の前に車停められるから。

 蔵は裏手や。着いたら声かけてくれ」


「了解。

 ……ほんまに変なもんちゃうやろな?」


「それは……来てから見てくれ」


また、妙な間が落ちた。


その沈黙が、

年末の静けさよりも重く感じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ