蔵に眠るひと 1
今年最後の怪談になります
来年は、どこから書き始めるか分かりませんがよろしくお願いします
読者の皆様よいお年をお迎えください
年末の午後、
外の空気がどこか落ち着かない感じで、
家の中も妙に静かだった。
そんなとき、スマホが震えた。
画面に表示された名前を見て、
「……誰やったっけ」と一瞬だけ考える。
懐かしいような、でも距離のあるような名前。
とりあえず通話ボタンを押す。
「よう、元気にしてるか?」
受話口から聞こえてきた声は、
昔と変わらない、少し軽くて、
でもどこか“間”のある明るさだった。
「ああ……お前か。久しぶりやな。
まあ、なんとか元気にやってるで」
「だよなぁ。お前はそうじゃねぇと困るわ」
向こうで笑う気配がした。
懐かしいけど、どこかぎこちない。
久しぶりに話す相手特有の距離感があった。
「で、急にどうしたんや。
年末やし、なんかあったんか?」
「いやさ……お前、昔から古い物とか好きやったろ?
骨董市とか、変な店とか、よく行ってたじゃん」
「まあ、好きやけど……
それがどうしたんや?」
「実はよ、爺さんの家を整理することになってさ。
蔵ん中から、わけ分からん骨董品が山ほど出てきたんだわ」
そこで一度、向こうが言葉を切った。
少しだけ、息を整えるような間。
「……山ほどって、どれくらいやねん」
「いや、マジで“山”。
箱開けたらまた箱、その中にまた箱って感じでよ。
しかも、なんか触りたくねぇのも混ざってんだよ」
声のトーンが、
さっきより少しだけ低くなった。
「お前なら分かるかなって思ってさ。
価値とか、どういうもんかとか。
俺じゃ全然判断つかねぇし」
「……そんなにヤバいんか?」
「ヤバいっていうか……
なんか“気味悪い”んだよな。
説明しづれぇけど」
また少しの沈黙。
「年末で悪いけどさ……
来てくれへん?
お前に見てもらいたいんだわ」
その声は、
懐かしさと、
どこか言いにくそうな気配と、
微妙な焦りが混ざっていた。




