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雪山での恐怖体験 2

友人はジョッキを握り直し、少し声を落とした。

「……俺、ひとりで滑りに行ったんだ。リフト券はシーズン券を受付で一日券に交換する方式でさ。動いてるのはゴンドラだけで、リフトは全部止まってた。」

俺は箸を置いて頷いた。

「ひとりでか。静かすぎて逆に不気味だったんじゃないか?」

友人は苦笑し、すぐに真顔に戻った。

「山頂までゴンドラで上がって、滑り降りてたんだ。途中に止まってるリフトの降り口があるんだけど……その辺で、後ろから氷を削るようなスノーボードの音が聞こえてきたんだ。」

俺は眉をひそめた。「え?誰もいないはずだろ?」

友人はゆっくり首を振った。「そう思って振り向いたらさ、一昔前の白いウェアを着た人が滑ってくるんだよ。顔は見えない。でも確かに俺の方へ向かってた。」

俺は半信半疑で笑った。

「……それ、普通の客じゃなかったのか?」

友人は低い声で続けた。

「いや、だって止まってるリフトの乗り場に差しかかると――音が消えるんだ。まるで最初から何もなかったみたいに。しかもそれが一度じゃない。何度も、何度も同じことが繰り返された。」

俺は思わず背筋を伸ばした。

「……繰り返されるってのは、さすがに気味が悪いな。」

友人はグラスを握りしめ、声を震わせた。

「最初は気のせいだと思った。でも繰り返すうちに背筋が冷たくなって、胸の奥が重くなって……午前中にはもう耐えられなくなって切り上げたんだ。あの白い影を思い出すと、今でもぞっとするんだよ。」

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