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友人からのオモロい話1

七時を少し過ぎた頃、駅前の焼肉屋の暖簾をくぐった。

換気の音が低く唸っていて、肉の焼ける匂いが店の奥まで染み込んでいる。

奥のテーブルで、こちらに気づいて軽く手を挙げた男がいた。

半年ぶりに会う友人だ。

「おー……来た来た。なんか半年ぶりやと、逆に気まずいな」

「気まずい言うなや。元気してたん?」

「まぁな。仕事は相変わらずやけど……なんとか生きとるわ」

「なんとかって言うやつは大体なんとかしてへんねんけどな」

「お前にだけは言われたないわ」

そんな軽口を叩きながら席に着くと、

友人はすでにウーロン茶を二つ頼んでいた。

「ほら、とりあえず飲めや。乾杯しよ」

「お、気ぃ利くやん。どうした、なんか良いことでもあったんか?」

「いや、半年ぶりやしな。こういうのは最初が肝心や」

「なんやその言い方」

二人で笑いながらグラスを軽く合わせる。

タン塩を網に並べると、じゅっと音がして脂が落ち、火が一瞬だけ強くなる。

「そういやさ」

友人が箸を止めて、少しだけ真面目な顔になった。

「あれからどうなん。ほら……例のやつ」

「例のやつって、幽霊に振られた話?」

「それ以外に何があるねん」

「いや、もうええねん。あれは忘れた。忘れたことにしてる」

「半年で忘れられるんやったら、もっと早く忘れとるわ」

「ほんまそれや」

また笑う。

でも、笑いながらも友人の目の奥に、

あの時と同じ“言いにくそうな影”が少しだけ残っていた。

「……でな」

友人はカルビをひっくり返しながら、

声のトーンを少し落とした。

「実は……もうひとつ、幽霊絡みの話あんねん」

「お前の“幽霊の話”って、だいたい笑われへんやつやろ」

「いや、今回はな……笑われへんというか……なんか、変やねん。怖いとかじゃなくて、説明つかんというか」

「また女の幽霊に振られたんか?」

「ちゃうねん。そういう方向ちゃうねん。

……なんて言うたらええんかな……」

友人は言葉を探すように、網の上の肉をじっと見つめた。

火が揺れて、その光が友人の横顔を一瞬だけ照らす。

「聞く覚悟あるか」

その言い方が妙に静かで、

店のざわめきが少し遠くなった気がした。

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