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雪山での恐怖体験 1

この日は、久しぶりにたまたま、駅前で会った古い友人と飲むことになった。

それなりに他愛ない話をしながら、酒が進んでいく。

お互いの近況を話し合った後、ふと友人が真顔になりこう聞いてきた。

「……なぁ、お前って昔から不思議な話とか怖い話、よく集めてただろ?」友人はグラスを置いて、少し声を落とした。店内のざわめきや焼き鳥の煙の向こうで、その言葉だけが妙に重く響いた。

俺は笑みを浮かべて頷いた。

「まぁな。そういう話は昔から好きだし、聞くのも集めるのも面白いと思ってるよ。」

友人は少し安心したように息を吐き、続けた。「別に大したことじゃないんだ。笑ってくれてもいいんだけどさ……俺、ちょっと変な体験したんだよ。聞いてくれる?」

俺はジョッキを持ち上げながら軽く肩をすくめた。「もちろん。そういう話なら大歓迎だ。で、何があったんだ?」

友人は一瞬だけ視線を泳がせ、ためらうように息を吐いた。「……その年は雪不足で、滑れる場所なんて限られてたんだ。俺が選んだのは、仕方なく残されたそのゲレンデだった。けれど一部は滑走禁止で、動いているのはゴンドラだけ。リフトは止まったまま、雪に埋もれた鉄骨が闇に沈んでいた。」

夜明け前に到着したゲレンデは、まだ人影もなく、雪面は青白く光を返していた。空は濃い群青で、遠くの山並みは墨絵のように沈んでいる。風がひとすじ抜けるたび、止まったリフトの支柱が軋む音が微かに響いた。その静けさは、ただの自然の音に過ぎないはずなのに…

どこか、人の気配を含んでいるように思えたんだ。

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