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後輩の物件探し1

後輩が一人暮らしを始めるというので、

内見についてきてほしいと頼まれた。

「先輩、内見って一人で行くの緊張しません?」

「まあ初めてならな。変な営業に当たると面倒だし」

「ですよね。なんか、ちゃんと見れる気がしなくて」

そんな軽い会話をしながら駅前で合流した。

不動産屋の車に乗り込むと、

担当の営業が丁寧に物件の説明をしてくれた。

「築12年で、去年リフォーム済みです。

 周辺は静かな住宅街で、治安もいいですよ」

後輩は頷きながら、スマホでメモを取っている。

「先輩、こういうのって何見ればいいんですか?」

「水回りと収納と日当たり。あとコンセントの位置」

「コンセント……あ、確かに」

車が住宅街に入ったあたりで、

後輩が窓の外を見ながら、ほんの一瞬だけ首を傾げた。

「どうした?」

「いや……なんでもないです。道が思ったより広いなって」

言い方は自然だったが、

“何かを確認したような仕草”が少し気になった。

物件に着くと、不動産屋が鍵を開けてくれた。

「どうぞ、ゆっくり見てください」

玄関を開けると、

リフォームされたばかりの匂いがした。

後輩は靴を脱ぎながら言う。

「おお、綺麗ですね。玄関広い」

「荷物置けるし、いいじゃん」

「ですね」

リビングに入ると、

白い壁紙とフローリングが明るく見えた。

後輩はキッチンに向かい、蛇口をひねる。

「水圧、普通ですね」

「大事だぞ、それ」

「ですよね」

収納を開けながら、後輩がまた小さく首を傾げた。

「どうした?」

「いや……思ったより奥行きありますね。写真より広い気がして」

その程度の違和感。

特に怪しいものではない。

ベランダに出て、日当たりを確認する。

「先輩、ここ洗濯物干しやすそうですね」

「うん、日も入るし悪くない」

「ここ、アリだなあ……」

後輩はしばらく黙って部屋を見渡し、

ぽつりと言った。


「……なんか、落ち着きますね。ここ」


その言い方は自然で、

特に深い意味はなさそうだった。

ただ、部屋の隅を見たときだけ、

ほんの一瞬、また首を傾げた。

でもすぐに笑って、

「先輩、ここ住んだら遊びに来てくださいよ」

と、いつもの調子に戻った。

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