カメラバッグの謎1
とあるフリマサイトで、
なんとなくカメラバッグを眺めていたときだった。
ほぼ新品で、見た目もオシャレなバッグが目に留まった。
革の質感も良さそうで、写真越しでも“当たり”の匂いがした。
値段も手頃。
むしろ安いくらいだった。
迷う理由もなく、すぐに出品者へ交渉のメッセージを送った。
返事は驚くほど早く、数回のやり取りであっさりと話がまとまった。
受け渡しは翌日の夕方。
指定された場所へ行くと、小柄な女性が一本の傘をさして立っていた。
「すみません、雨の中……」
そう言いながら、
丁寧に頭を下げてバッグを差し出してくれた。
愛想の良い人で、取引は数分で終わった。
現金を渡し、軽く会釈して別れる。
駐車場に戻り、車の中で改めてバッグを手に取った。
綺麗だ。
傷ひとつなく、
革の部分がほんの少しくたびれている程度。
むしろその“こなれ感”が良い味になっている。
「これは掘り出し物だな……」
思わず声に出してしまうほど、
気分が上がっていた。
ウキウキしながら部屋へ戻り、
さっそく自分のカメラを収納してみることにした。
バッグの中は、新品のように清潔で、仕切りも柔らかく、機材がぴたりと収まる。
いい買い物をした、と満足しながら、
レンズを入れ、ボディを入れ、
最後に小物ポケットのファスナーを開けた。
ポケットの奥に指を入れた瞬間、
指先に“何か”が触れた。




