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98. ザカリア伯爵領の闇  ①

アレク達は一路南に向かって走っていた。聖ピウス皇国との国境沿いにあるザカリア伯爵領を目指しているのだ。

ザカリア伯爵は力比べ競技の際、捕縛された貴族の1人だった。ただ、伯爵自身はアヘンの中毒症状が進み

正常な判断が下せない状態だという。


伯爵がそのような状態で、領地がどのような状況になっているか疑問だ。


また、その領地には聖ピウス教の教会が建っており、なにやら怪しい動きをしているという。



「で、陛下が我々に探索依頼をしたというわけです」


「なるほど、怪しさ満点だな。しかし、陰の者達も動いているんだろう?」


「それが、誰も戻ってきていないのです」


「それで俺達か。ゾッとしねえな」


それでも馬車は南へむかって順調に走っていた。



王都を出てから5日目。ザカリア領の隣に位置するセンドーサ伯爵領都シギルに着いた。


この街は街道の要衝で南へはザカリア領都ゾルアへ、東へはサラマンダ侯爵領へと続いている。



「なかなか大きな街ですね」エルは街を見ながら言った。


「そうだな。ここまで一気に来たが、この街で何日か過ごそうと思う」

「えー、なんで?もうすぐザカリア領なのに」とセイガは不満そうだ。


「情報収集だ。いいですよね」

「私もその方がいいと思います。ザカリア領で何が起こっているかわからないので」

「そっかー。この街に美味いもんある?」

「ここは牛の産地ですので乳製品と牛肉ですかね」

「うん、楽しみ」


と言う訳でシギルの街で宿をさがすことになった。



「あ、危ない!」

アレクは思わず手綱を引き絞った。


見ると12,3歳くらいの少年が転んでいる。アレクは馬車から降り、その少年を助け起こした。

「怪我はないか?」とアレクが尋ねると

「はい。大丈夫です。すみません、お騒がせしました。ちょっとふらついてしまって」と少年は力なく微笑んだ。


「大分、弱っているようだが」

「実は、一昨日から何も食べていないのです」

「親御さんは?」

「いません。実は僕、ゾルアから逃げ出して来たんです」

「ゾルアから?まあ、いい。それよりも俺達とくるか?飯を食わしてやる」

「え、いいのですか。それなら有り難いです」


少年を馬車に乗せ、ほどほどに大きい『牛とミルク亭』という宿に落ち着いた。


「おかみ、今日のお勧めは?」

「牛肉のシチューだよ」

「じゃあそれを5人前頼む」

「あいよ」


アレク達と少年は昼食を取り始めたが、少年は物も言わず食べ続けた。


やっと一息ついたのかホウっと息を吐いた。


「ところで、君の名前は?」
























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