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90. 春光祭 ①

俺達は竜王に別れを告げて帰路についた。


王城に着いたあと、俺は厩舎に行ってクロックたちを訪問した。1日会わなかっただけなのに何年も会わなかったかのように興奮してなだめるのに苦労した。仕方がないので王城の馬場を借りて乗り回していたらやっと落ち着いてくれた。



「師匠、王様がね、明日から3日間王都でお祭りがあるんだって。それを見てから旅立たないかって」

「へえ、どんなお祭りなんだ?」

「何でも春を迎える春光祭っていうお祭りだって」

「キュイ」、「ワフ」

ロンとセイガが同時に答えた。セイガの尻尾はちぎれんばかりに振られている。


「わかった、わかった。それにエルも見てみたいだろう?」




その後、国王に会い春光祭の件でお礼を述べると

「いやいや、それよりもその祭りで毎年、行方不明者がでる。来年は竜王の結界があるので安心だが明日から3日間はまだ結界が出来上がらないので心配だ。それに結界内に入った者はどうにもできん。できれば我々と協力して貰えないか」


「私達は何をすれば・・・」

「祭りを楽しんでくれて構わない。ただ、不審な者がいないか目を光らせて欲しい」


「わかりました。気をつけて見回ってみます」



翌日、春光祭が幕をあけた。


俺達は宮殿から出て初めて王都ベルムの街にでた。


「すごい人だね。ロン、セイガ、迷子にならないでね」

「キュイ」

「大丈夫。僕はこう見えても鼻が効くからね」

「お前の鼻が効くのは屋台からの匂いじゃないか?」

「何だよ、それ」


王都ベルムにある家は独特の作りをしている。まず建物自体が大きい上に1~2階が吹き抜けになっている。これは竜に変身した時を考慮した物だそうだ。そして中央にある広場が馬鹿でかい。その広場に所狭しと屋台がならんでいる。


早速、セイガが鼻をピクつかせて

「ねえ、あの屋台からいい匂いがするよ」

「あ、あっちも」


「セイガ、あっちもこっちもって。お前、そんなに食えないだろ?」

「いいじゃん、匂いを嗅ぐくらい。それに3日もあるんだし」


苦笑しながら、エルと共に屋台に買いに行かせて俺は中央の噴水のベンチで待つことにした。山のような獲得品を持ったセイガ達が戻って来ると開口一番、不穏な事を言った。


「アレク、屋台の中に変な匂いのする店があった」

「どんな匂いだ?」

「なんだか甘ったるい感じの嗅いだことのない匂い。普通の人は分からないだろうけど」

「屋台っていうか小屋のようなものを建てていて、その中から」


「怪しいな。セイガ案内してくれるか。エルとロンはここで待機いいな」


俺はセイガの先導でその小屋に向かった。










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