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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第三章 ”始まりの街”
78/329

78. 出発 ①

そして春分点の日



早朝から街は異様な熱気に包まれていた。



エルとアレクの一行は邸の者達に別れを告げ、街へと向かっていた。

エル、大丈夫?と子オオカミのセイガが聞くと

「うう、ヒック、だって皆優しくて。私が帰るのを待ってるからって」

ロンも心配そうにエルに身を寄せている。「キュイ」


「さあ、泣くのはお仕舞いだ。そろそろ街に入る」



"はじまり街”の橋の前ではまだ暗いというのに多くの馬車、馬、人でごったがえしていた。

それを見越して、多くの屋台も出ている。


「出発前の腹ごしらえ。串焼きはどうだい?」

「ヒージョは腹持ちするよ、1つどうだい?」


呼び込みに余念がない。


「ねえ、ねえ」子オオカミのセイガ鼻をひくつかせ、御者台に座っているアレクの膝を叩く。

「お前、さっき朝食、食ったばかりだろう」あきれてアレクが言うと

「だってえ」

「しょうがねえな。エル、まだ時間はあるから何か買ってきてくれ」

エルはくすっと笑って、「分かった」と言って馬車を降りて買いに行った。その後ろを子オオカミがちょろちょろとついて行く。



「兄さん達も『黄金の道』に行くのかい?」隣の荷馬車の男が話しかけてきた。

「ああ」

「それなら気をつけた方がいい。『黄金の道』に向かうのは何も冒険者だけじゃねえ。ここに居られないお尋ね者や荷物を狙う盗人どもがわんさかいるからよ。見れば、可愛い男の子が一緒だが、拐かされるなんてこともある。『黄金の道』は今日1日姿を現している。日のある内に荒稼ぎする奴が五万といるからさ」

「そうか。日のある内に戻って来れば問題ないか」

「日のある内に荒稼ぎして、日の暮れる直前にもどれば真相は闇の中という訳さ」

「ありがとう。十分注意しておくよ」

「俺はデン。こいつらはザキとリブロだ。『暁の稲妻』っていうB級冒険者グループだ」

「俺はアレク。それから男の子はエル。あと子オオカミのセイガにこれがロンだ」

「キュイ」とロンが首を出した。

「へえ、お前さん達かわってるな。でもまあ変わり者しか『黄金の道』には行かねえか。なあ、悪い事は言わねえ、今日1日、俺達と行動をともにしねえか?今日1日乗り切りゃ後は自由だ」

「そうだな、じゃあ、宜しく頼む」

といって、アレクは差し出された手を握った。


丁度帰ってきたエルがこの様子をみてキョトンとしている。

「エル、今日1日行動をともにする『暁の稲妻』の皆さんだ」

「そうなんですね。宜しくお願いします」


「ところでいいもの持ってんな」

「あ、これ皆さんもどうぞ。多目に買ってきたから」

「ありがとよ。ちょっと小腹が空いていたんだ」




そして暁の空に太陽が昇り始めた。
















お待たせ致しました。いよいよ出発です。皆さんが読んでくれていると書いていて力が沸きます。自信を付けるためにも評価ボタンを押して頂けるとありがたいです。

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