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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第三章 ”始まりの街”
73/331

73. 魔の森で拾った奇妙な生き物 ① 

それからエルと俺は魔法の修練に明け暮れた。


魔力循環が出来るようになって3日目、やっと魔力を外に放出することが出来た。


それからは早かった。


もともとエルは魔力量が大きく、魔力の枯渇を起こしたことが無かった。そのため、どんどん練習をし、どんどん上達していった。


頃合いを見て俺はエルに実戦を経験させることにした。

「エル、明日から魔の森にいって実戦を積む。泊まりがけになるから用意しとけ」

エルは

「魔の森ですか。いよいよ川向こうに行くんですね」と目をキラキラさせていた。



翌日の早朝、俺達はそれぞれの馬に乗り街へ向かった。エルの馬はクロムといい、芦毛の牝馬で気性も大人しく良い馬だった。


石橋に着く頃には朝日が昇り始め、辺りが明るくなると、川向こうに黒々とした魔の森のシルエットが現れた。

森の中に馬で入るのは難しそうだ。俺達は街の冒険者ギルドまで引き返した。


この街の冒険者ギルドは金さえ払えば馬の面倒をみてくれる。2頭を預け、外に出たと同時に食欲をそそるいい匂いがしてきた。


「あっ、師匠、屋台が店を開け始めましたよ!」

「あそこはボアの串焼き、こっちは小麦粉に肉と野菜を練り込んで焼いたヒージョ、それからこっちは」


「おいおい、お前、腹が減ってるな」

「だって、『腹が減っては』って言うじゃないですか」

「なんだそりゃ、まあいい、好きな物を買ってこい。ここで食べよう」と広場のベンチを指さした。



中々美味い朝食後、俺達は石橋を渡り魔の森に来ていた。


特にこれといった異変が無かったため俺達はどんどん奥へ進んで行った。


途中、薬草採取の冒険者達に会ったがこの辺には魔獣はいないらしい。もっと川沿いの北の方によく魔獣が出没するらしい。礼を言って立ち去ろうとすると、


「一旦、来た道を戻った方がいいぞ。この先に行くとヤバイ場所に出る。それは」と冒険者が言いかけた途端、

”ドシン”と辺りを震わす大きな音が聞こえた。冒険者は震え上がり、一目散に逃げていった。




残された俺達は辺りに気を配りながら周辺を探ったが、特に危険を感じる物は無かった。


ーーーあの音は何だったんだ。サイラス先生が言った結界に何かぶつかった?


あっとエルが言い、何かを見つけたようだった。


トカゲのようなその小さな生き物はへそ天で寝ていた。いや、気を失っていた。


エルはそおっとそれを持ち上げ俺に見せた。目をキラキラさせて。


「師匠、これ可愛いです」


こいつが何を言いたいか直ぐに分かった。

「危険じゃないとわかるまではダメだ」


そして俺はその奇妙なトカゲをつついて起こしてみたが起きない。と思っていたらそいつは俺の指先に食いついた。こいつ毒があるのかと思って振り払おうとしたが離れない。それどころか俺の魔力を吸い取ってやがる。思いっ切り手を振ってそいつを指から引き離した。歯形が残っていたので急いでヒールをかける。奴は満足そうにゲップをして俺達を見上げ「キュイ」と鳴いた。


「師匠」

「キュイ」

「ダメだ」


「師匠」

「キュイ」


「あーもうわかった。好きにしろ。お前の責任で世話しろよ」

「ありがとうございます。師匠」

「キュイ」









今まで日に2回とハイペースで更新してきましたが、諸事情で日に1回とさせて頂きます。楽しみにしていた方申し訳ありません。今後とも、『黄金の道』を宜しくお願いします。


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