表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第三章 ”始まりの街”
70/329

70. エルの秘密

「エル、お前、女の子だったのか」


「はい。こんな格好をしてますが私は女性です」


ーーーああ、参った。全然気づかなかった。


「師匠、お読みになってお分かりになったと思いますが、私はこの国の者ではないようです。それどころか『黄金の道』の先にある『ユークリッド王国』の者だそうです。私はその国へ行ってみたい。何故命を狙われているのか確かめたいのです。でないと、この家にいるものやお世話になっている方々を危険にさらすことになるからです」


「それで、その紅玉のペンダントだが・・」


「これを身に付けたとき、私は1週間、意識不明で寝込んでいたんだそうです。家の者はこのペンダントが見えないようで、お医者様を呼んでも原因は分からなかったそうです」


「その間、私は長い夢を見ていました。ユイとシン・サクライの物語を」


「待て、今、なんて言った?」


「ユイとシン・サクライの物語と」


ーーーなんてこった。ここでも『サクライ』か。この世界に『サクライ』が深く関わっているということか。


考え込んでしまった俺に、エルは怪訝な表情をみせた。


「師匠?」


「ああ、ごめん、続けて」


「それで、ユイとシンは魔法使いだったのです。特にシンは別の世界からやって来たそうです。で、彼らの記憶をこの紅玉に封じ込めたといってました。それには魔法のことも含んでいます」


ーーー別世界だと?



「彼らは『エルドラド』に行かなければならなくて、子供にこのペンダントを残すのだと」


「ですから、私はなんとしても魔法を覚えて彼らの残したペンダントを読み取りたいのです」




「話はわかった。エル、お前、俺と一緒に『黄金の道』に行ってみるか」


「はい!お願いします」といってエルは泣き出した。


「おい、泣くなよ。俺が泣かせたみたいじゃないか」


「だって、ヒック、嬉しくて。ヒック、不安でたまらなかったんだもん」


「あー、わかった、わかった。だけど魔法の訓練は厳しくするぞ」


「はい、わかりました」


「それとな、エル、家の人達にはどう説明する?」





階下ではちょっとした騒ぎが起きていた。キール子爵自らこの邸にやって来ていた。






アレクにエルの秘密がバレましたね。次回はアレクの秘密がバレる番です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ