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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第三章 ”始まりの街”
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67. アレクの戸惑い  ①

ジョンと共に馬の世話を終え、邸に向かったアレクをエルが迎えた。


「アレクさん、どうぞ入って」


「失礼します」と言って入ったアレクを見てマリーはちょっと驚いた顔をしたがすぐに笑顔に変わり

「いらっしゃいませ。家政婦をしておりますマリーと申します」と挨拶をした。


「突然お邪魔してすみません。アレクです。お世話になります」


「アレクさんには剣とかいろいろ教えて貰おうと思って。いいでしょ、マリー」


「まあまあ、エル様はすっかりアレク様を気に入られてしまったようですね。お部屋は2階の客室が空いておりますのでご案内します」



案内された部屋は正面に大きな窓のあるこざっぱりとした部屋だった。


「ここにタオルを置いておきますね。大浴場は1階奥にありますので後でご案内いたします」

「大浴場ですか?」

「ええ。メリッサ様、エル様の義母様なんですが優秀な魔導具師であった方なんです。その方が実験的に作られたものなんですが疲労を取るのにとてもいいのです。」


ーーーやばい。この世界に来て大浴場に入れるなんて!


「ありがとうございます。ぜひ入らせていただきます」


窓を開けると早春の爽やかな風が入ってきた。目の前には牧場が広がっている。

アレクは伸びをして早春の風を胸いっぱいに吸い込んだ。



タオルと着替えを持って階下へいくと、マリーが浴室へ案内してくれた。


「汚れ物はこの麻袋に入れて下さい。それとこれが石鹸です。これも亡き奥様が作られたものでハーブを混ぜて作られた物なんです。肌に良いと貴族の方に好評なんですよ」


「ありがとうございます。では早速、入らせていただきます」


俺は嬉しさで満面の笑みを浮かべお礼を言った。オオカミ獣人だったら、尻尾をちぎれんばかりにふっていたろう。


浴室に入り、俺は感嘆した。ああ、風呂だ。湯船が6畳間程もあり、大人5~6人は優に入れる。実に10年ぶりの風呂だ。

体を洗い、風呂につかる。心身が解きほぐされていく感覚に思わずため息が漏れる。


風呂でサッパリし着替えて外に出ると、エルがいた。


「どう、アレクさん。家に来て良かったでしょう?明日から魔法の稽古よろしくね。もうすぐ夕飯だからキッチンに案内するね。家ではキッチンで皆揃って食べるんだ」


ーーーこの子と出会ったのも何かの縁かもしれないな。ここで春分点まで厄介になるのもいいかもしれないな。









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