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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第二章 因縁の双子
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49. 魔法使いへの道 ⑤

  俺はかつて日本で学生時代から1人暮らしをしていたため、自然と料理は作れるようになっていた。


 「君、料理作れるの?」

 「はあ、簡単なものだけですけれど」

 「じゃあ、キッチンに来たまえ」

 

 「エルフの方はどのような食事をされるのですか?」

 「基本的に野菜中心だね。後はナッツ類とか果物とか」

 「食料庫をのぞいてもいいですか」

 「もちろんだよ」


 食料倉庫をのぞいたら、卵があった。じゃがいもとピーマン、タマネギもある。よし、スパニッシュオムレツにしよう。実を言うと、俺はこの世界の料理に少々うんざりしていた。いい機会だと思って久しぶり料理をした。


 で野菜スープと共にスパニッシュオムレツをテーブルに並べた。


 先生が目を丸くしてそれをみていた。

 「君、本当に料理が出来たんだね」と言い、おもむろに食べ出した。無言で食べている。気に入らなかったかな。と思っていると、ふと顔を上げ、


 「君は魔法だけでなく、料理も天才だ!」と絶賛された。




 食後のハーブティーを飲みながら先生は自分のこれまでの事を話しだした。


 「私は、今年で639歳になる。なに、びっくりすることじゃない。エルフの寿命は1000歳を超えると言われているから、まだ半分くらいしか生きていない。500年位前に人間達の間で魔石を使いだしたとの情報がもたらされた。知識のない人間がへたに魔石を扱うと世界が滅びる。エルフの間に危機感が広まり、私は長老に呼び出され人間を探るようにいわれた」


 一息ついてお茶を飲みながら

 「それで、ヨルド川を越えてこちら側にきたんだが、実際、驚いたよ。魔法が使えないと思っていた人間が魔法を使い、さらに我々が知らない魔石を使った道具を次々に発明していたんだからね。

 ひょんなことから私はオットーと知り合って、この文明をもたらしたのがケン・サクライという異世界人だと言うことがわかった。」


 「その情報をエルフの郷に知らせようと思ったが、既に魔の森が結界で封鎖されていたんだ。ケン・サクライを疑ったが、彼は大分前に永遠の眠りについたという。一体だれがこのような強力な結界を張ったのか未だに分からない。春分点・秋分点に『黄金の道』というものが現れるときいて見に行ったよ。でもね、そこに立ったときに異変に気づいたんだ。精霊たちが反応しない。エルフの魔術は精霊達の力を利用するものだから何かあった場合、手も足もでない。それで私はここに引きこもって精霊魔術以外の魔法の研究を始めたんだ」


「それでオットーが予言していた異世界人が再びこの世界に現れるのを待ってね」

 

「君は面白い子だアレキサンダー。長いからアレクと呼ぶよ? 君と共に魔法の研究が出来るなんて僥倖だ。待っていた甲斐が会ったと思う。これからよろしく頼む。あ、あと昼食は君の担当にしていいかな?」


「はい、もちろんです」

ーーーーよっぽどスパニッシュオムレツを気に入ったなと思いながら頷いた。

 

 




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