48.魔法使いへの道 ④
その晩俺は寮に帰っても、うかない顔をしていたんだろう。キースに「どうしたんですか」と心配させてしまった。
翌朝、朝食を食べに行った際、レイ達と会った。俺はレイに、今後一般教養の授業に出ないこと、専門科目の授業に集中することなどを話した。
「流石はアレク様。一般教養など習得済みですもんね。会えなくなるのは寂しいですが、専門科目頑張ってください」とエールをもらった。
東の塔は学院の建物群を抜け、森の中を通った先に建っていた。歩いて30分ほどの距離にある。
キースと俺は始業時間ぎりぎりでたどりついた。
ドアをノックすると中から専任講師らしき人物が俺たちを出迎えた。
だが俺は、その人物を見て固まった。
プラチナブロンドの長い髪、美しく整った顔立ちに長い耳がついていた。
そう、エルフだ。
「ふふふ」と彼は笑い、「君はエルフを見るのは初めてかい?」
「あ、失礼しました。今日から特別講義を受けさせて頂くアレキサンダーと 申します。宜しくお願いします」
「私はサイラス・ナーガという。あ、護衛騎士君、君にはこの石を渡しておく。石の色が変化したら迎えに来て欲しい」
「了解しました」
「ではアレキサンダー、中へどうぞ」
「ふふ、驚いたかい?ここはわたしの住まいも兼ねているんだ。研究室は3階になる」といって彼は階段を上っていった。
「大体のことはカシアスに聞いている。属性は7種類、魔力は桁外れだそうだね。ここで君は何をしたい」
「僕は魔法について何も知らないのです。魔法を使えるようになったのもなんとなくしていたら出来てしまったと言うように、何故、魔法が発動したかのかが分からない。それと、属性とか魔力とかそれすら分からないのです。ですから、魔法についての知識を得て、さらに自在に操れるようになりたいと思ってます」
「そうか。魔法について何も知らないんだね。ではまず君にこの本を貸してあげよう」
その表紙には『初級 魔法概論』と書いてあった。
「あ、これ」
「ん、何かな」
「以前、図書館で目を通したことがあって」
「そうか。まずこれを暗記するくらい熟読して欲しい。分からない事があれば必ず質問して」
「あの、ここには基本6属性と書いてありましたが、僕は7属性と言われています。どうしてですか」
「ああそれは6属性の他に君には『聖』という特殊な属性が入っていると言うことだ。
『聖』属性が何故特殊なのかと言えば死者に対抗できる唯一の属性だからだ。普段滅多に使われない」
「なるほど、そういう訳なんですね。それと魔力量が大きいといわれましたが何を基準にはかっているのでしょう」
「普通成人獣人の基本魔力量は80前後だ。君はメーターを振り切ったと聞いている」
「だから、測定不能なんですね」
「ああ、もうそろそろ昼食の時間だ。昼食はここで取ってもらうことになるけど僕の料理は君の口にあうかな」
「先生、良ければ僕が作りましょうか」