47. オットー・シュトラウスの予言 ②
オットー・シュトラウスの予言です。
「君は何故、我が国が建国の英雄オットーを蔑ろにしたシュトラウス王国と友好関係を保ち続けているのか分かるかね」
「いえ、分かりません」
「オットーは予言を残しているんだよ」
曰く
『いつの日か遠い未来に、シュトラウス王家にケン・サクライは復活する。彼は異世界の記憶を持ち、神のような魔法の才を持ちながら。だが、シュトラウス王家の者は彼を排除するために動くだろう。何故なら、彼は私と同じ銀髪にアイスブルーの瞳を持っているからだ』
『我々は彼を助け、彼の意志を妨げてはならない。彼は大いなる意志のもと、魔の森の不思議を解き明かし謎めいたエルドラドへの道に進んで行く者だからだ』
何も言えなかった。
ケン・サクライという人物が俺自身なのか分からない。
確かに俺は『桜井 健太』という日本人だった。俺にある記憶は、桜井健太のもので日本で普通のサラリーマンとして過ごしてきたものだ。ケン・サクライの記憶は一切ない。
暫く沈黙したのち、カシアス学院長は口を開いた。
「この検査結果を見て、私は確信した。君はケン・サクライの生まれ変わりではないか?本当の話を聞かせて欲しい」
「僕にも分かりません。でも・・」
俺は前世の記憶を持ってこの世界に来たことを話した。
俺が24歳の平凡なサラリーマンだったこと。異世界での名前が『桜井 健太』だったこと。ある時、酒に酔って歩いていたら車に跳ねられ、気が付いたら10歳の男の子になっていて、知らない世界に来ていた事。気づいたら魔法が使える用になっていたこと。自分の母親や兄によく思われていないこと。離宮に隔離して育てられたことなどを大まかに話をした。
「これだけだと僕がケン・サクライの生まれ変わりだと捉えられるのも分かります。でもそれだとケン・サクライの記憶が一切ないのはどうしてなのでしょうか?そして大いなる意志というのもなんのことかわかりません」
「そうか、分かった。私は君を生まれ変わりではなく『アレキサンダー』として扱おう」
「ただし、君には一般の魔法科の生徒とは異なるカリキュラムを組ませてもらう。余りにもレベルが違い過ぎるからね」
と言う訳で俺には専任講師が就くことになった。
「明日から君は午前・午後を通して魔法を学んでもらう。始業時間になったら東の塔へ来るように」
長いので話を2つに分けました。次回からまた『魔法使いへの道』に戻ります。
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