46 オットー・シュトラウスの予言 ①
シュトラウス王国とズデーデン王国の建国秘話です。
俺はびびりながら学院長室へ向かった。検査結果をどう説明するか判断がつかなかったからだ。
「学院長、アレキサンダーです。呼ばれていると伺い参上いたしました」
「入りたまえ」
「失礼します」
部屋に入り、勧められるまま学院長の向かいの席にすわった。
「君は我が国とシュトラウス王国の建国の話はしっているか?」
「シュトラウス王国の建国はケン・サクライが建国し養子であるオットー・シュトラウスに引き継がれ、現在に至ると。ズデーデン王国は謎めいた蛮族が辺りを統一し創りあげたと我が国では教えられました」
「実は我が国の建国者はそのオットー・シュトラウスなのだよ」
それから学院長は王家に伝わる秘話を話してくれた。
ケン・サクライの弟子、オットーは魔法の才を見出され、彼のもとで修行を積んでいた。ケン・サクライはオットーの他にも多くの弟子を持ったが、魔法を発現出来た者はいなかった。オットーの双子の兄、ニールも発現できなかったうちの1人だった。
ケン・サクライが永遠の眠りについた後、ニールは自分こそがケン・サクライに後を託されたオットーであるとして他の弟子と共にオットーを追い出した。ニールも他の弟子も魔法が使えるオットーが目障りだったのだ。
オットーはヨルド川の向こうへ追放され、当てもなく彷徨っていたのだが、ある部族の長に助けられその時から彼らと行動を共にした。長はオットーが魔法使いであることに驚いたが、争いが絶えない各部族を束ね、1つの国家として統一して欲しいと願った。
そして数年が経ち、彼は見事に統一を果たした。そして一番の強敵だった獣人のオオカミ族とも和解が成立し、ズデーデン王国となった。
と言う話だった。
ちなみに、オットーは銀髪でアイスブルーの瞳、ニールは金髪だったそうだ。
なるほど、シュトラウス王家の双子の銀髪は俺を含め弟子だった奴らにとってオットーを思い出す忌み子だったんだな。何故、若死にしたのか分かったような気がした。それと同時に現国王(俺の親父)は俺を留学させることで魔の手から逃してくれたのかもしれないと思った。
考えに沈んだ俺を見ながら、学院長は話をつづけた。
オットーはさらにこんな言葉も残している。
「ケン・サクライは別の世界の人間だった。魔法の力も膨大で魔力切れなどとは無縁だった。魔法の才も多彩で私などは足下にも及ばない。いろいろな属性を使い分けていた。もし、将来このような人物が現れた場合、別世界の人間と疑うべきだろう」
「ただ、別世界の人間を闇雲に恐れてはいけない。彼らはなにか使命を負ってこの世界にきているのだから」
俺は冷や汗が止まらなかった。