44. 魔法使いへの道 ②
ズデーデン王国に属している獣人は殆どがオオカミ族である。
寒冷地ということもあるが、ワーウルフ、日本でいう『狼男』が、王族のなかにときおり出現することと関係があるらしい。
午前中の教養課程では、国の歴史、地理、数学(基礎的なもの)、公用語の習得を1年かけて学んでいくという。既に習得済みの者は学期末テストだけ受ければOKというものだった。
今朝の講義は公用語だった。勿論、俺は講義をパスして図書館に向かった。魔法関連の書物をあさりに行ったのだ。
図書館はシュトラウス王宮書庫に匹敵するぐらい大きかった。司書に魔法関連の書籍の場所を聞いたところ変な顔をされたが、丁寧に教えてくれた。
俺は魔法が使えるが知識については全くの初心者だ。まず魔法がどういうものでどんなものがあるか全くわからない。そこでその司書に魔法の初心者が読む本はどんな本がいいか聞いてみた。そうしたらいろいろ調べてくれていくつか本を持ってきてくれた。
「ありがとう」とお礼をいうと、彼女はまっ赤になりながら話はじめた。
「私達(と言って後ろの2人を振り返る)、図書委員なんです。司書さんだけではこの膨大な本を管理仕切れなくてお手伝いしてます。勿論、将来は司書を目指しているのでここで修行させてもらっています」
「そうなんだ」
「あの、新入生の方ですよね。お名前をお伺いしても」
「僕は、アレク。君達は?」
「私はキャシー、そしてルイーズとララです」
「私とルイーズは文官科の2年生、ララは魔法科の2年生です」
「僕は魔法科の1年生。ララさんは先輩だね。よろしく」
「ええーっ。人間の方が魔法科ですか。もしかして、付与魔法を習得に?」
「いや違うよ。魔法全般を学びたいと思っている」
「そうなんですか。私は付与魔法のグループなので違いますね」と残念そうに言った。
「これからちょくちょくこの図書館に来るがから皆宜しくね」
「はい」といって彼女たちは大きくうなずいた。
席に座り、彼女達が持ってきてくれた本に目を通す。『初級 魔法概論』というその本は魔法の種類や性質などが詳細に載っていた。思わず時間を忘れて読みふけっていると正午の鐘が鳴った。
一旦本を返し、廊下を歩いていると後ろから「アレク様!」と呼ぶ声が聞こえた。
レイとジェームスが走り寄ってきて
「午前中、講義にでていないから心配したよ」
「うん、公用語だったから必要ないかなって思って」
「そうかあ。アレク様には必要ないかもな」
「えっ、そうなの」とジェームスが驚いた顔をする。
「アレク様は語学の天才なのさ」
ーーーーいや、チート能力なんだけど黙っておこう。
「一緒に昼食、食べに行こうぜ」と3人で食堂へ向かった。