42. ズデーデン王立学院 ⑥
午後になりクラス分けの結果が発表され、俺はレイと同じAクラスとなった。
それから寮に入ったのだが、レイは一般寮に、俺は特別寮になった。特別寮とは王族や他国の王族が使う部屋で、護衛達と続き部屋になっている。きっと暗殺などされないよう学院でも気をつけているという事なのだろう。
夕食は大食堂で集まって取ることになっているが、大食堂へ行ってみて映画のシーンと同じなので、これまたびっくりだ。
300人程の学生が一堂に会するのは圧巻の一言だ。席は学年・クラスで分かれており、俺はレイを見つけ隣に座った。レイの部屋は二人部屋だったそうでこれは貴族の子弟が使う部屋だ。他は6人部屋になるという。レイの隣にはルームメイトがおり、名をジェームスといった。同じAクラスだそうだ。
学院長の挨拶が始まる。遠目でみるかぎり白い髭などは生やしてなかった。(残念)
1年生は食後、寮についてのオリエンテーリングがあった。寮監はマルクという3年生。騎士科に通っているだけあってがたいがでかい。寮での注意事項を淡々と語り威圧を放っていた。
オリエンテーリングが終わり部屋に戻ろうとすると、教師がやって来て、学院長に会うように言われた。仕方なく教師のあとをついて行く。
学院長室に入ると、学院長自ら立って俺を迎えてくれた。
学院長は30代半ば、銀の髪にアイスブルーの瞳をしている。聞けば、王弟なのだという。妙に納得してしまった。
「明日入学式の後、各クラスで専門科への希望を募り、振り分けを行う。君は事前に国王から魔法科への希望と聞いているが、間違いないかね」
「はい」
「魔法科は入る前に適正試験が行われる。いくら希望しても、魔法が使えなければ別の科に行ってもらうが、それはいいね」
「もちろんです」
「よろしい。あと、魔法科の生徒はほぼ獣人となっている。人間は王家に縁のある生徒が1人だけだ。獣人に忌避感などはないね」
「ありません」
「それでは明日の選抜試験を楽しみにしている」
寮に戻るとキースが心配そうに駆け寄ってきた。
「帰りが遅いので、心配いたしました。オリエンテーリングの後どこかに寄られていたのですか」
「うん。学院長に呼ばれて、いろいろ確認されたよ」
「不都合なことなどがあったのでしょうか」
「いや、魔法が使えるかどうか明日、選抜試験があるらしい」
「なら安心ですね。殿下の魔法の腕はたしかですから」
明日の選抜試験がどういったものであるか楽しみだ。