403. 開校日
学園の開校日当日、アレクはまだ暗い内から身支度を始めた。昨夜は殆ど寝ていない。と言うか、この所徹夜の作業が続いているが、余り疲れが出てこない。この体はどうなっているんだろうとふと思うことが在る。エルと会ってからもう五年の月日が流れてはいるが容姿は21歳の時のままだ。自分は本当に人間なのかと少々疑わしく思ってしまう。準備が出来、学園へと飛んだ。
ここでも、夜を徹して準備が行われている。寮の整備、食堂、そして教員による教科書類のチェック等、皆一様に疲れた顔をしていたが、目は希望に満ちている。学園はこの国にとって未来に繋がる希望だ。
「シリウス様、開校日になりましたが準備は整いましたか?」
「ああ、アレクか。滞りなく開校出来そうだ。ところで最終的に何人の生徒が来る?」
「60名です。ですが、皆、移民してきてまだ間がないものですから時が経てばもっと増える予想です」
「ふむ、まあその時は追々考える事にしよう。その60人は読み書きなどは出来るようになっているんだな」
「はい。各州知事には通達を出しています」
「なら問題ない。最初の1週間でその子達の適正を見ることにしよう」
「あっ、賢者様。寮のチェック終わりました。男子40名、女子20名で間違いないですか?」
「間違いない。それでは開校式まで休んでおけ」
「ありがとうございます」
「賢者様、食堂の準備整いました」
「ご苦労様。ゆっくり休んでくれ」
シリウスの元には次々と知らせが入る。
「アレク、教員達の方を見てくれないか?準備に相当手間取っているみたいだ」
「分かりました。ところでシリウス様の魔法科にはどれ位の人数を予定しているのですか」
「20人といったところか。僕が見たところもっと増えるかも知れない」
「そうですか。一応、皆、魔力を有している子達ですが適正によって他の科に振り分けをお願いします」
「分かった。それと魔法科の中でも、魔導具との相性がいい子がいたらそちらに振り分けるのだろう?」
「そうですね、お願いします。シュトラウス王国から魔導具師も呼んでいますから」
「分かった。僕は魔導具に関しては素人だからね」
そうして準備が終わり、いよいよ王立学園の開校日を迎えた。当初、60名で迎えた開校だったが、翌年には120名と倍の人数となり、特に魔法科はこの世界で最大の魔法学校となっていく。
「やっと終わったね」
「ああ、後は法整備と税制だ。これが整えば国としての機能が整う」
「イスタファンはまだ領地から帰ってこないの?」
「家畜を何十頭も連れて行ったからなあ。向こうで振り分けに追われているんだろう」
「僕、見てくるよ。何なら乗せて帰って来る」
「セイガ、頼めるか?こちらもそれほど猶予がない」
「分かった」
勢いよく出て行ったセイガの後ろ姿を見ながらアレクは自分の執務に戻って行った。




