401. イスタファンの就業 ②
翌日、イスタファンはセオドアに自分が新生ユークリッド王国の官吏となったことを報告した。セオドアは自分が出る幕はなかっとといいながらも喜んでくれた。
「それでお前はどんな仕事をするんだ?」
「それがまだ決ってないんです。どこもかしこも人手が足りないので好きなところに行けば良いと」
「そうか、大変なんだな。一から国を創るということか」
「ええ。聖ピウス皇国は内情は国の管理を全くしていなかったようで。その前のユークリッド王国の貴族や官吏達は全滅状態なのです」
「まあ奴らは人間などどうでも良かったのだろう。自分達は何もしなくても生きていられる存在だしな」
「ええ。足りない物は奪えば良いという発想だったらしく」
「なんて国だ。良い時に来たな。ここからはお前の力の見せ所だ。俺も王位を継いだ時に隣国が平穏であることが一番だしな」
「いろいろご尽力下さってありがとうございます、セオドア王太子殿下」
「おいおい、皮肉か?」
「いえ、本当に感謝しています。私だけならアレク様にも会うことは叶わなかったでしょう」
「ふん、まあいい。それより腹が減ったぞ。朝食を食べに行こう」
朝食後、イスタファンは精力的に動き出した。まずアレクの所に行き、この国がどう言う状態なのか詳細に把握しようとした。だが、イスタファンの想像とは違い遙かに酷い状況だった。付け焼き刃的にあちこち応急処置をしているにすぎない。
「ということは、この国ではまだ法律が整っておらず、税に関しても何も決っていないと」
「そうなんだ。人々の生活を優先するあまりそっちは方面は全く手が着いて無い状態だ。もしかしてイスタファンはそっち方面に詳しいのか?」
「専門家かと言われれば違いますが、多少は心得があります」
「よし、イスタファン、君にはそっち方面をお願いする」
即決だった。だが、やるしかない。移民達の中に弁護士など法律に詳しい者、税や会計に明るい者がいないかリストから捜した。弁護士は二人見つかった。税に詳しい者は引退した税務官吏がいた。彼らは特殊技能持ちとして王都に滞在していた。イスタファンは早速彼らを訪ね、官吏として登用した。アレクに頼んで王城の一室を貰い、法律と税の大綱を決めるべく動き出した。
「アレク、イスタファンが来てくれて良かったね」
「ああ。これでこの国の屋台骨ができる。ヴィルヘルムが帰国するまでに何とか国の形を作っておかなければならないからな」
「そういえば、彼はいつシュトラウス王国へ行くの?」
「明日にはこの国を発つ。セオドア殿もそれに合わせて本国に帰られるようだ」
「そうなんだ。フフっ。でも馬車が苦手だなんて。結局、竜騎士に国境まで送らせることになったんだって?」
「彼は海の男だ。陸上の移動は相当堪えたんだろう」
「まあ、船の上ではお尻が痛くなることはないからね」
翌日、ヴィルヘルムはアレクの転移魔法でシュトラウス王国へと発った。それを見届けて、セオドアも竜騎士達と共にセルア王国へと帰っていった。




