表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第二章 因縁の双子
39/329

39. ズデーデン王立学院 ③

 部屋から見る景色は絶景だった。


ヨルド川はゆったりと流れ、早春の午後の陽射しを受けてキラキラと川面が輝いていた。遠くにかすかに見える街が対岸の街キリルだろう。


ノックの音がしてキースとレイモンドが入って来た。


「殿下と共にズデーデン王立学院に留学することになりましたレイモンド・シュゼインです。これから宜しくお願いします」

「君のことはレイと呼んでもいいかな。僕のことはアレクで」

「僕は『レイ』でかまいませんが、殿下を呼ぶのは・・・」

「だって学院で僕の名前だすと目立つだろう?」

「わかりました。では、アレク様とお呼びします」

「うん、よろしくね」


「ところで遠目に見えるあの街はキリルかな」

「さようでございます。対岸に着きましたら王都カルアまで3日、ズデーデン王立学院のあるキシュまで4日で到着いたします」

「レイさあ、慣れないのかもしれないけどもうちょっと砕けて話そうよ。同じ学院に入る生徒になるんだし」

「わかりま、えっと、うん、わかった」

「そうそう、その調子」


「あ、そうそうレイ、先に王都に行ってズデーデン国王に挨拶してから学院に向かうから。そのつもりで。あと、僕は馬車には乗らないから。君はどうする?」

「じゃあ、僕もそうする」

「お言葉ですが殿下」とキースが割って入った。

「ズデーデン王国に入ったら移動は馬車のみとなります」

「えー、なんで」

「現地に入りましたら、ズデーデン王国騎士団がお迎えに参ります。警備の必要上、殿下には馬車で移動してもらうことになっております」

「わかったよ。クッション多目に用意してね」

「かしこまりました」



 伯爵の館で3日間の休養を取り、ヨルド川を渡るため港に向かった。


 港には巨大な外輪船が停泊していた。

 俺は正直びっくりした。この世界の文明の進み具合を侮っていたのかもしれない。


「これはどうやって動いているの?」

「驚いたでしょう、殿下。実はこれは魔石をつかって動いているのです」

 伯爵が誇らしげに語った。

 

「これは、我々というよりもズデーデン国の技術なのです。あちらにはドワーフがおりますからな。外洋ではなく短い距離に限られますが、大量輸送が可能になりました」

「すごいね。ズデーデンで学ぶのが楽しみだ」


 その後、俺たちは伯爵に滞在中の感謝とお礼を言い、船に乗り込んだ。


 船は一行の馬車や馬たちを乗せ出航し、程なくキリルの街に到着した。


 キリルの街は対岸のランカスターよりも大きく、港には外輪船のほか外洋にでるような帆船も数多く停泊していた。


 船を下りると1個小隊の騎士団が出迎えた。王都まで警護してくれるという。


 仕方なく、馬車に乗り王都までの道を揺られることとなった。


 1つこれまでと違うことは、大量のクッションが置かれていたことと、レイという話し相手が出来たことだ。


















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ