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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第十一章 新生ユークリッド王国
328/330

328. 国創り ⑮ エル

アレクがシュトラウス王国から戻ったと聞き、エルはすぐにアレクの執務室へと向かった。アレクに現状の報告をするためだ。今、エルには30名のヴァンパイアからの転身組の部下がいるのだが、その3分の1程は思想的に全く相容れないものを感じていた。聖ピウス皇国の洗脳のせいと言っても良いだろうそれはどうしても選民思想が主流になっていた。


確かにエルに恭順を示し、従ってはいるのだがそれはエルだけに留まっているにすぎない。その上、エルを煽りエルがピウスの代わりにこの国の頂点になるべきとの考えを述べ、他の種族のことは眼中にない。エルがいくら新しい国では他種族共存の方針だと言うことを言い含めても選民思想に凝り固まった彼らは頑として受け付けなかった。だからいろいろな事でトラブルを起こした。


だが、人手不足のこの国で彼らのように使える者は、淘汰するには余りにも惜しい。エルは相当なストレスとジレンマを抱えていた。



「アレク、戻ったのね」

「ああエル、ただいま」

「今、時間ある?」

「何かあったのかい?取敢えずお茶にしよう」


と言って、アレクはお茶の用意と茶菓子を空間から出した。そこへセイガがひょいと顔を出した。


「あ、エル、来てたんだ。お茶するの。僕も」と言って、大きな尻尾をゆらゆらと揺らした。

「全く、いいタイミングだな」とアレクが呆れると

「まあね」と言ってソファに座り込んだ。


「アレクに相談したい事があるんだけど」と言って、エルは執務室にいる者を見た。それを見たアレクは人払いを命じる。


「実は私の部下のうち3分の1位が、ヴァンパイアの選民主義に凝り固まっていて私では対処できなくなっているの。特に聖女を祭り上げようとするし、他の種族の者は従属すべしなどと教会で説いているなんて聖ピウスの時と何も変らない。何で夫婦神を祭っているのか分からなくなってくるわ」


「それは困った問題だね。彼らを一度教会から引き離そうか」


「ウィルがいてくれればもっと良かったのかもしれないけど」


「いない者を宛てにするのは止めよう。彼らを矯正するために一人一人離そう。やって貰う仕事はいくらでもある。それでも矯正しない場合は、しょうがないな。君に判断は任せる」


「それで考え方が変ってくれればいいんだけど」


「取敢えず、セイガ、君に彼らを矯正する仕事を任せる」と言って、大口を開けて茶菓子を食べていたセイガを見た。セイガは飲み込んだ茶菓子が喉につかえて目を白黒させている。


「何?本気なの?そんなあ・・」


「今、手が空いているのはお前だろう?あと、彼らを一人一人離す事だ。つるむと余計な事を考え兼ねない。一応10人だ。宜しくな」


「えーっ、簡単にいってくれるよ。そういえばシリウスが子供達に魔法を教えたいと言っていたな。学校を建てる事業を僕に任せてくれない?そうしたら彼らの選民思想も魔法を学ぶことによって変るかも」


「分かった。賢者様もいるんなら心強い。賢者様とも連絡を取って話を進めてくれ」








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