327. 国創り ⑭
ロンが王都ペレスに帰ってから忙しさは倍増した。特に地方に行って土地を耕して貰っている竜騎士達を呼び戻さなければならない。
「タンガ、帰国する竜騎士を選別しておいてくれ」
「かしこまりました。セルア王国に行った者達はいかがなさいますか」
「あちらは少し時間がかかりそうだ。今回は帰国を諦めて貰うしかないだろうな」
「そうですね。まあ、あちらに行った者達は皆、独身者ですから支障はないと思います」
「すまないな。君にもいろいろ苦労をかける」
「いえ、これは我が竜騎士側の問題ですから」
暫く間を置いてタンガは真剣な顔で話始めた。
「実は、折り入ってアレク様にお話があります」
「どうした」
「私はこれを期に竜騎士を辞めようと思っています」
「何だって」
「私は国に帰っても爵位無しの次男坊です。ですから何のしがらみもありません。出来ればこの国に残りアレク様達のお手伝いをしたい。新しい国を創りあげる事に携わりたいのです。同じ考えの者が、他に3名ほどいます。お願い致します。願いを聞き届けて貰えないでしょうか」
「それはありがたい申し出だが・・・私としてはこちらからお願いしたいぐらいだが、ジークフリート陛下のご判断を仰がねばならんだろう。話はそれからだ」
「そのため、我ら4名の一時帰国をお許し願いたく」
「話は分かった。ロンについて行ってもらえ」
「ありがとうございます」
タンガが出て行ったあと、アレクはロンを呼んだ。
「ロン、タンガ他3名がこの国に留まりたいと言っている。悪いが彼らと共に竜人国へまた行ってくれるか」
「ええー。また行くの。留まりたいってどうして」
「この国を創って行くのを見守りたいらしい」
「そうなんだ。願ってもないことだね。分かったよ。僕も父上に口添えすればいいんだね」
「宜しく頼む。彼らは帰郷する竜騎士と共に帰るからお前も一緒に帰国してくれ」
「分かった。あとヴィルヘルム達はまだかかりそうなの?」
「まだ当分帰って来ない」
「そっかー。向こうの騎士達の中にも残りたいっていう人が出てくるかもね。それも含めて父上にいってくるよ」
「すまんな。何しろ人手が足りない。希望者には是非この国に留まって貰いたいんだ」
「何だか不思議な国になりそうだね。いろんな種族の人々が混ざり合ってて」
「その分、俺達の責任は重大だ。それぞれの種族間で争いのないようにしていかなければならないからな」
「この世界ではなかった国だもんね。皆、仲良くしてくれればいいんだけど」
「そうだな」