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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第十一章 新生ユークリッド王国
323/329

323. 国創り ⑩ アレク

次にアレクが目指したのはドワーフの里だった。里の真ん中にいきなり現れたアレクだったがドワーフ達はさして驚きもせずララを呼んで来てくれた。


「アレク!どうしたの?聖ピウス皇国の侵攻はうまくいった?」

「ララ、お陰様でうまくいったよ。これはお礼だ」


アレクは空間からエールの樽とワイン樽を幾つか取りだし、目の前に積み上げた。その途端、ドワーフ達は仕事を放り投げ積み上がった樽の周りに集まって来た。


「うひょー、こいつはいい!」

「今夜は宴会だ」

「じゃあ、宴会するならこれもやろう」と大きなボアを一頭取り出すと彼らは小躍りして早速ボアを解体所へと運んで行った。


「悪いわね」

「良いってことさ。これは彼らの働きに対しての正当なお礼だ」

「お父さんに会いに来たんでしょ。行きましょ」



「一瞥以来だな、ラビ」

「これはこれは、アレキサンダー殿下。聖剣製作以来ですかな。それで結果はどうなりましたか」

「あの時は無理を言ってすまなかった。無事、聖ピウス皇国を討つ事が出来た。礼を言う」

と言ってアレクは頭を下げた。


「礼のついでにと言っては何だが、頼みがある」

「何でしょう」

「実は彼の国では農業が壊滅的な状態にある。今ある農機具を全て売って貰えないだろうか」

「農機具をですか。ええ、構いませんが」

「それと我が国にはそれを作り出す職人もいない。出来れば我が国に移住を希望する者を募って貰いたい」


それを聞いたラビは難しい顔をした。

「私は里の者に強要する資格は持っておりませぬ。あくまで本人の意思ということであれば・・」

「それで構わない。あくまで希望者ということでお願いしたい」

「分かりました。希望者を募ってみましょう」

「感謝する。酒を持ってきた。皆で楽しんでくれ」

「それはありがとうございます。皆も喜ぶでしょう」


そこでララが談話室に入って来た。

「お父さん、宴の用意が出来たみたい。皆、飲みたくてウズウズしてるわ」

「そうか。なら行こうか」とラビは出口に向かった。



「ねえ、アレク、移住の希望者を集めに来たんでしょ。実は、私の夫が外に出たがってたのよ。里に籠もってばかりじゃ新しい刺激が足りないって。丁度いい機会だから話してみるわ。きっと良い返事が貰えると思う」

「そうか。それはありがたい。移住するにあたって何か希望することはあるか」

「そうねえ、ドワーフは土の民。似た環境が望ましいわ。それに鉄を焼く窯。それを用意してくれれば・・・」

「分かった。出来る限り希望に添うようにしよう。移住日は来年の春分点でいいか」

「ええ、大丈夫よ。アレク達が創った新しい国。楽しみだわ」


外では宴が始まったのか、ドワーフ達の笑い声が響いていた。










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