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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第十一章 新生ユークリッド王国
321/329

321.国創り ⑧ エル

今日何度目かの溜息を吐いたエルに、付き添っているタンガはエルの前にお茶と焼き菓子を置いた。


「少し休憩しましょう、エル様」

「ありがとう、タンガ。それにしてもする事が多すぎて何から手を付けて良いか分からないわ」


エルの仕事は多岐に渡る。残ったヴァンパイア達の把握、貧民や孤児達の救済、夫婦神教会の再建など一人では背負いきれない程の難題が山積みである。


「まず、信頼する部下を見つけることから始めてはいかがでしょうか」

「部下?」

「はい。貴女はヴァンパイアにとって真祖です。ヴァンパイア達から有能な者を選び忠誠を誓わせるというのはどうですか。そうすれば、彼らに仕事を分担させられます」

「そっか。タンガ、今、分かっているヴァンパイアを集めてくれる?私が面接をするわ」

「捕えているヴァンパイア達をここへ連れてきましょう」



タンガは捕えているヴァンパイア達をエルの前に連れてきた。城内にはざっと50人程のヴァンパイアがおとなしく捕まっている。彼らは裁かれることを覚悟し、エルの前に並んだ。


「私は貴方達を無闇に葬ろうをはしません。貴方達が心から改心し、私に忠誠を誓ってくれるのであれば貴方達を許しましょう。私と血の契約を結びなさい。でも、このまま消え去る事を望んでいるのであればその意思を尊重します。それでは一人づつ私の前へ」


エルは自分の血が入ったゴブレットを持ちヴァンパイアの前に立つ。


「貴方は私心なく私に使えることを誓うか」

エルは目の前にいるヴァンパイアの目を真っ直ぐ見て問うた。


「はい、聖女様。誓います」

「では、これを」と言って、ゴブレットを差し出した。そのヴァンパイアはゴブレットを押し頂き、一口飲んだ。途端に彼の体が赤く光り、彼は意識を失って倒れる。


それを無視して、次のヴァンパイアに向き合った。


次々と残ったヴァンパイア達に向き合ったエルだが、エルの視線に耐えられずに視線を逸らす者、逃げ出す者もいた。彼らは捕まり容赦なく灰になった。


結局、エルの新しい部下は30人になった。


「お疲れ様でした」

「タンガ、倒れた者達をどこか安静な場所に寝かせてあげて。ヴァンパイアになった年月が長い者ほど目覚めるのは遅くなるわ。目ざめたら私の元まで連れてきてちょうだい」

「分かりました」

「それと彼らが王城でどのような仕事をしていたかも調べてね」


エルの仕事はまだ始まったばかり。エルはまた重い溜息を吐くのであった。









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