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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第十章 聖ピウス皇国の崩壊
307/329

307. 侵攻開始 ③

最後に魔方陣から現れたエルはウィル達と共に迷いなく王宮へと向かった。王宮の正門を守る衛兵にエルは声をかける。


「そこをおどきなさい」

「誰だ。教皇様からここ誰も通すなと言われている」

「ここの主が帰って来たのです。ヴィルヘルム殿下、前へ」

「はい。私はセルア王国とユークリッド王国王族であるヴィルヘルムだ。母上が育ったこの王宮を取り返しに来た。通してもらおう」


さっと衛兵が身構えるとエルは赤い目を光らせた。途端に衛兵の動きが止まる。


「私は聖女エル。貴方達はヴァンパイアではないわね。無駄な抵抗はしないほうがいいわ。今日限り、ヴァンパイアの支配は終わるのだから」


衛兵は動かない体で驚きの目を見張る。エル達は正門から王宮へと進んで行った。




「セイガ様」


竜人騎士がセイガを呼びに来た。

「あちらに獣人と人間が捕らわれております」

「すぐ行く」


セイガと竜人騎士は三方向に繋がっている通路のもう1つの道を進んでいった。そこには力なく座っている獣人と人間が牢に繋がれていた。鍵を壊し救出したが自力で歩けないほど弱っている。セイガは持ってきていたポーションを彼らに飲ませ、竜人騎士達に先程の子供達の所まで運ばせた。


「おかしい。何故、ここがこんなにも手薄なんだ?ここは奴らの大事な実験場ではないのか」とセイガが呟くと、捕らわれていた獣人の一人が

「奴らは魔力が多く残っている者達を連れてここから出て行った。俺達は牢の中で衰弱して死ぬのを待っていたんだ」と弱々しく言った。

「どこへ行ったんだろう。取敢えず、君達は治療が必要だ。シリウス、この人達を獣人国へ運べるか」

「子供達を含めた全員は無理だ」

「ならばここに残ってこの人達を守って欲しい」

「そうだな。大人達は動かさない方が良いだろう。で君はどうする?」

「皇都に戻りアレク達の援護をする」



ロン達後続部隊が正教会へ向かっているとそこにばらばらと皇国軍が集まり始めていた。竜人騎士達は竜に変身し、ブレスで皇国軍に応戦する。ヴァンパイアと見られる指揮官達がそれをよけ、斬りかかってくるが、ドラゴンヴァンパイアであるサイラス卿が聖剣を持って彼らにあたった。


中央広場は怒号が飛び交う戦場になったが、ロンは胸騒ぎを覚え機をみてエル達の後を追う。



エル達が王宮の中に入って行くと、聖騎士達と共に数人の司教達が現れた。


「一体何の騒ぎですか。おやっ、これはマルタ司教、何ごとですか」

「この王宮を正当な主に返して貰いに来た」

「正当な主?何を馬鹿な。ここは恐れ多くも聖ピウス様がおられる場所ですぞ」

「ピウスはここにいるのですね。私はあの者に罰を与えなければなりません」

「何を生意気な!」


一人の聖騎士がエルに襲いかかって来た。だがエルはその燃える様な目で聖騎士を睨むと聖騎士は動きが止まり、次の瞬間灰に変った。それを見た司教達は恐慌に陥った。


「聖女様」


何人かが跪く。何人かは慌てて奥へと走って行った。























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