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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第十章 聖ピウス皇国の崩壊
305/330

305. 侵攻開始 ①

皇都ペレスの朝はいつも通り静かに始まっていた。


基本、上級国民であるヴァンパイア達は夜行性だ。朝、眠りに着く。この時間に動いている者は従属民である人間と獣人達だ。彼らは朝早くに起き出し、家業に勤しんでいる。


中央広場で屋台を出すために準備をしていた彼らの目の前に、突如巨大な魔方陣が現れた。ある者は腰を抜かし、ある者は悲鳴をあげて逃げ惑う。そんな彼らの前に銀の鎧を纏った騎士達が現れた。


「驚かせてすまない。我々はヴァンパイア達からお前達を解放するために来た。ちなみに教皇のいる正教会はどこだ」銀の髪をした若者が聞いた。近くで腰を抜かした者が震える手で大きな尖塔を持つ建物を指さす。彼はお礼をいい、ヒールを掛けその者を立たせてやった。


「ここは戦闘になると危ない。中心部からはなるべく遠くに距離をとれ」

「騎士様、本当ですか。私ら奴らから解放されるんですか」

「ああ、本当だ。だから早くここから逃げろ」


民衆が蜘蛛の子を散らすように逃げていく。その間にまた魔方陣が光った。



「さあて行くか」


銀の髪をした若者が屈強な騎士達を従え、尖塔を持つ建物に向かって走り出した。


次に魔方陣から出た騎士達は大きな狼と共に南へ走って行く。そしてまた魔方陣が光った。


物陰からこの様子を見ていた者達は期待を込めた目で彼らを見ていた。



正教会に着いたアレクは扉を守っていた聖騎士達を拘束魔法で縛り刀を向けた。

「教皇達はどこにいる」

「誰がお前などに。我々は誉れある聖騎士だ。大体、刀で脅しても無駄だ。何と言っても我々は不死のヴァンパイアなのだからな」

「そうか。それは都合がいい。ではお前達を片付けることにしよう」


アレクは目の前にいる聖騎士を斬った。と見る間にその騎士が灰になっていく。それを見て聖騎士達は恐慌をきたした。

「嘘だ。俺達は不死身のはず。そ、それは聖剣か」


有無を言わさず近くにいた竜人の騎士がもう一人の聖騎士を斬る。次々と出てきた聖騎士達を竜人の騎士達が屠っていった。後には灰の山が出来ている。



「教皇様!大変です。得体の知れない者達が次々と聖騎士達を屠り正教会を弾圧しています」


慌てふためいた司教達が教皇の寝室に飛び込んできた。まだ眠りに入ったばかりの教皇ザビエルは不機嫌そうに起き上がった。

「何を馬鹿なことを」

「それが、彼らは正規の軍人で聖剣を持っております」

そこでようやく目が覚めた教皇はどなった。

「どこの軍隊だ」

「恐らく竜人国かと」

「何。何故、いきなり現れたのだ」

「そ、それがあの魔方陣を使って中央広場に」

「あれはもう使えなくなっていたのではないのか。聖ピウス様は正気ではないこの時に。ええい、聖騎士全軍に出動を命じよ」

「分かりました」

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