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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第十章 聖ピウス皇国の崩壊
303/329

303. 開戦前 

森へ向かう小道の地面が光り地面に魔法陣が現れる。アレクとエルは森の中へ続く道へと転送した。


「アレク、場所わかる?」

「森へ入ってすぐの所だ」


アレクとエルは森の中へ入っていく。暫く歩いて、アレクが立ち止まった。

「確かこのあたりだ」

「分かったわ。魔法陣を出してみる」

エルがペンダントを握りしめる。と、すぐ近くの地面が光りだし魔法陣が現れた。

「よし、封印を解くぞ」

今度はアレクが魔法陣に向かい魔力をぶつけた。魔法陣はぐるぐると回りだし地面に吸い込まれるように消えた。

「これで良し。あとは地面に印を付けて置くか」

アレクが魔法を放つと、地面にうっすらと模様が描かれた。

「後は戻るまで誰も入らないよう結界で覆うとしよう」



森の入り口に結界を張り、待ち合わせの場所へ向かった。




「聖ピウス様が聖女の間でお目覚めになって良かった。あそこならどんなに暴れてもびくともしないだろう」

司祭たちは安堵の吐息を吐いた。聖ピウスを閉じ込めるため、既に何人かの犠牲者が出ている。


「しかし、教皇様はこの後、どのようになさるのか」

「まさかピウス様が正気を失っておられるとは・・・」

司祭たちは不安げな表情を教皇の間へ向けた。


「リッチ殿、これは一体どういうことだ」

教皇ザビエルは怒りを湛えてリッチを睨みつける。

「十分な魔力が足りていないのですな」

「十分な魔力を供給すれば、ピウス様は正気に戻られると?」

「左様ですな。だから手近にある魔力を自ら取り込んでおられる。こうなれば仕方ない。正気に戻られるまで生贄をあの部屋に送り込むしかあるまいて」

「これ以上の生贄を・・」

「それほどの魔力といえば竜人族しかあるまい」

「しかし、あそこは今、結界に覆われている」

「もしくは世界樹か・・・」


ザビエルは枢機卿達を振り返り、尋ねた。

「世界樹の探索はどうなっている」

「闇ギルドを動かしておりますが、エルフ達の幻術でまだ特定できていません」

「なんとかして探し出せ。もしくはエルフを捕らえ、世界樹の枝を持ってくるよう交渉しろ」

「はっ」

「あとは世界樹の枝が到着するまで、獣人、人間の魔力が多い者をできるだけ集めろ。それまでピウス様に贄が必要だ」

「分かりました」

教皇がイライラしながら命令を下しているのを、リッチはにやにやしながら見ていた。



賢者シリウスは聖ピウス皇国へ向け、黒ヒョウのケヴィンを案内訳として獣人国の兵と共に出発した。裏から攻撃を仕掛けるつもりだ。恐らく竜人達が攻め込めば、皇都以外は手薄になる。その隙をついて鉱山等で囚われている獣人や人間達を解放する予定だ。マタタビにより、獅子国からは多くの囚人が捕らえられている。魔力が多い者は中央に、少ないものは鉱山などに送られている。


「やっとこの時が来た。サイード王子、貴方の無念を晴らします」

ケヴィンは燃える瞳を前へ向けた。






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