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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第一章 エルとペンダント
30/330

30. エルの決意 ①

今回からまたエルの話に戻ります。

 ふとエルは目を覚ました。辺りを見回すといつもの見慣れた部屋だった。


 起きようと思ったが、体がひどく重く動かない。それに、喉が渇いて死にそうだ。仕方なく枕元にあるベルを鳴らした。

 ドタドタとすごい足音がして、護衛のジョン、エミリー、家政婦のマリーが部屋に飛び込んできた。


「エル様!」

ジョンはエルの様子を確かめると「コール先生を呼んでくる」といって出て行った。

「良かったあ、エル様、もう起きられないかと心配しました」とエミリーが泣きじゃくっている。

「???」

「エル様は、1週間目をお覚ましにならなかったのです。医師のコール先生に診てもらいましたが原因がわからないとのことで。ずっとこのままなのかと心配いたしました」とマリーが涙を溜めて言った。


とりあえず水を頼もうとしたが、喉が渇きすぎて声が出ない。やっとのことで「水を」とかすれ声でささやいた。

マリーが水差しからコップに水を注ぎ持ってきたが、体がうまく動かない。マリーに体をささえてもらい、やっとのことで水を口にした。水は驚くほどエルの体内に染みわたり『ホウ』と思わずため息がもれた。


 もう1杯水を頼み、それもすぐ空になった。ようやく落ち着いて、エルはマリーとエミリーの顔を交互に見て言った。「心配かけてごめんなさい」


 「今、ジョンがコール先生を呼びに行ってます。診察が終わるまで安静にしていてください」といってマリーはエルの体を元に戻し、エミリーを促して部屋をでていった。


 一人になるとエルは先程見た夢について考えていた。もし、あの夢が現実に起こったことだったとしたら。シンとユイは自分となにか関係があるのかもしれない。もし、二人が私の両親だとしたら・・・

いろいろなことが頭の中でグルグル渦巻いていた。


 暫くするとコール医師が部屋に入って来た。

「どこか痛みを感じる所はありますか」 エルはかぶりを振った。

「熱もないようですし大丈夫でしょう。あとは栄養のある消化の良いものを食べ、体力をつければ心配ないでしょう」といい、2,3マリーに指示を出して帰って行った。


「エル様、何か召し上がりたいものはありますか」

エルはちょっと考え「果物、柔らかく煮たリンゴが食べたい」とリクエストすると、マリーは微笑み、「ではすぐに用意して参ります」と言って部屋を後にした。


そして1人になったエルは、また自分の考えに沈んでいった。


ペンダントの記憶の長いお話にお付き合い下さりありがとうございました。今回からいよいよエルが動き出します。評価ボタンをいただけると励みになります。これからもどうぞ宜しくお願いします。

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