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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第一章 エルとペンダント
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3.エル①

主人公一人目の生い立ちです

エルはこの街で育った。両親は分からない。赤ん坊の時に親切な老夫婦に拾われ12歳になるまで育ててもらったが、今年の冬、風邪をこじらし老夫婦共帰らぬ人となった。


 この家には老夫婦の他に、家政婦と老いても全く腕の衰えぬ元冒険者の護衛、そして雑用を担当する若いメイドとエルで住んでいた。 老夫婦に子供はなく、エルを我が子のように慈しんで育ててくれた。老夫婦は平民とはいえ、キール子爵の一族でそれなりに裕福であった。だからエルは貴族の子弟とはいかないものの、家庭教師についてマナーや教養を学び、どこに出してもおかしくないようしっかりと育てられた。また冒険者が多いこの街では治安の面で不安があるとし、家にいる老護衛に剣術も学んだ。


 エルは非常に優秀な子供で、家庭教師も舌をまくほどであった。さらにハッと目を引く容姿をしている。さらさらした黒髪に透けるような白い肌。そしてなによりキラキラしたその紅い瞳に見つめられれば誰もが心を奪われた。 老夫婦は彼女の将来を案じ、男の子として育て、女であることを家の者には固く口止めをしていた。そんな周囲の愛情を受け、彼女はすくすくと育っていった。


 エルが12歳の冬、いつになく寒さが厳しい年の瀬に流感が街で猛威を振るっていた。老いた義両親も次々と倒れ、日に日に衰弱していった。エルはいろんな薬師や医者に彼らを診せたが首を振るばかりで気安め程度の薬を置いていった。

老夫婦は死の間際に、エルが自分達の子供ではないこと、ある人にエルを託されたことを語った。その人は自分達が助けた時には手の施しようがない傷を負っており、エルが成人したらこのペンダントを渡して欲しい、くれぐれもエルを頼むといいこときれたとのことだった。託されていたのに成人まで見てやれなくてすまない。ペンダントは机の引き出しに、この家はおまえのものだから好きに使ってかまわないと言い残し旅立っていった。

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