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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第十章 聖ピウス皇国の崩壊
299/331

299. 作戦会議 ②

「貴方はヴァンパイア族の真祖であるとおっしゃった。そもそも真祖とはどういうことですかな」


沈黙を破って一人の重臣がエルに問いかけた。エルはゆっくりと彼を見つめながら彼に問う。


「貴方はヴァンパイアがどのように仲間を増やすのかご存知ですか」

「いいえ、存じ上げません」


「ヴァンパイアは通常、相手の血液を飲み干し、死に至る直前で己の血液を相手に飲ませヴァンパイア化します。それが上位、力のある者がそれを行った場合、ヴァンパイアになった者もその者に及ばないものの力のある者となります。またそれは上の者に対しては絶対服従することとなります。今、彼らの最も上位にあるのがピウスであり、そのピウスによって創られた者が枢機卿や司祭達になります。また枢機卿や司祭によって創られたヴァンパイアもおりましょう。ヴァンパイアは一般の生殖によらず増えていく種族であり力による縦社会でもあります」


会議室の中がどよめいた。


「そしてヴァンパイアは不死であり、聖剣でしか倒せない相手、普通の剣では首を跳ねても死ぬことはないでしょう」

「なんと・・」

「真祖とはそのヴァンパイアの大元と言えばいいのでしょうか、唯一、生殖で真祖から生まれた存在です。だから何者にも従属せず、ヴァンパイアの中で私に逆らう者はいないはずでした。しかし私が長い間目覚めない為、欲をかいた者がおり、魔石を利用して、このヴァンパイアの不文律を変えようとしたのが聖ピウスとその部下たちなのです」



奇妙な沈黙が重臣達の上におちた。とそこへ扉が開き、アレクが入って来た。


「アレク!」エルが驚いて声をあげた。


見ると、アレクの後ろからヴィルヘルムとウィルが入ってくる。アレクは国王の前に跪き、いきなりの登場の詫びを告げ、そして「陛下にご紹介したい人物がおります」とヴィルヘルムを見やった。


「おお。アレキサンダー王子、丁度よかった。貴殿にもこの会議に参加して貰いたい。で、その方達は」

「いきなりの御前、失礼致します。こちらは故ユークリッド王家最後の王子、ヴィルヘルム殿、そしてその従者のウィル殿になります」


重臣達の目が一斉にヴィルヘルム達に注がれる。ヴィルヘルム達は跪いて国王に挨拶する。


「お初にお目にかかります。私は故ユークリッド王国からセルア王国に嫁いだ第一王女シルビアの一子、ヴィルヘルムと申します。オロイ湖上で聖ピウス皇国の者に捕えられ危うく命を取られるところをこちらのウィルに助けられ、獣王国へ逃げる途中にアレキサンダー王子に助けられました。先程までシュトラウス王国に匿われていましたが、聖ピウス皇国への兵を挙げるとのことを聞き及び、はせ参じた次第です」


「おお、貴殿が最後の王子であったか。貴殿も我々の会議に出席願おう。エル殿、ヴァンパイアについて続きをお願いする」














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