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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第十章 聖ピウス皇国の崩壊
295/331

295. ロンの里帰り ②

その夜アレク達はチーズフォンデュを堪能した後、周りをロンの結界で覆い野営をした。時々、夜陰に紛れて攻撃してくる魔獣もいたが、悉く結界に阻まれ諦めて再び夜陰に帰って行った。翌朝早く出発した彼らは道なき道を進み、竜人国の城門へとたどり着いた。


「誰もいないね」

「入る商人たちも制限されているからな」


門の木戸を叩くと、兵士が顔を出した。アレク達を見ると慌てて中へ入り、上官らしき人物がやってきた。


「ロン王子殿下でいらっしゃいますか。こちらへどうぞ」と言い、重厚な石の城門の中へ招き入れた。


城門の中を進み、竜人国側の出口側に出ると景色が歪んで見える。

「今、結界を開けますのでお待ちください」

すると歪んでいた景色の一部分が鮮明になった。

「どうぞお通り下さい」


アレク達は無事城門を通り抜け、竜人国に入った。


「アレク、おばあ様が滝のところまで転移魔法で来れるか聞いてるんだけど」

「ああ、大丈夫だ。それじゃあ一気に飛ぶぞ」


アレク達の立っている所に巨大な魔方陣が現れる。次の瞬間、巨大な滝の側にある平坦な土地に彼らは立っていた。そこには王太子ヴァルターが待っていた。


「兄上、お久しぶりです」

「おお、ロンか。随分大きくなったな。息災でなによりだ。おばあ様に言いつかって迎えにきた。アレク王子、セイガ様、そしてエル様、ようこそ竜人国へ。おばあ様が首を長くして待っておられる」

「ヴァルター王太子殿下、突然の訪問にも関わらずお出迎えありがとうございます」


ヴァルター王太子は「固い挨拶は抜きにして、こちらです」と言って洞窟の階段を下りていく。暫く階段を下りた先に巨大な扉があった。王太子が手を触れると、扉が徐々に開いていき巨大な空間が広がった。その空間を進んで行くと、奥に一人の老婆が立っていた。


「おばあ様!」ロンが声を上げて走って行く。

「おお、ロンか。大きくなったね」と言って、彼女は目の前に来たロンの頭を撫でた。そして遅れてやって来たアレク達に目を向ける。

「一瞥以来じゃな、アレク王子、それにセイガ殿にエル殿。いろいろ積もる話もあるから、茶でも飲んで寛いでくだされ」といって巨大な扉を開け、居間に案内する。そこにはかつて次期伯爵だったサイラスが満面の笑みで彼らを迎えた。


「エル様、ロン王子殿下、それにアレク様とセイガ様、お久し振りでございます」

「まあ、サイラス次期伯爵、その後、お変わりありませんか?」

「はい、エル様。あれ以来、私は血を欲することもなく心穏やかに過ごしております。これもエル様のおかげ。ありがとうございます。今は竜王様の元で執事長を務めさせて頂いております。ですのでこれからは次期伯爵ではなく只のサイラスとお呼び下さい」






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