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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第十章 聖ピウス皇国の崩壊
288/331

288. 帰郷 ①

アレク達がアインステッドに到着したのは、それから2日後だった。


「マリー、ジョン、ただいま」エルは駆けていって二人に飛びついた。

「まあまあ、エル様、お帰りなさい。お元気でしたか」

「うん、秋分の日までここに滞在することになるから宜しくね」

「はい、分かりました。ああ、そうそう、エル様に紹介いたしますね。マーサとサガンこちらにいらっしゃい」

マリーに呼ばれた二人が緊張した面持ちでエルの前に立った。


「エミリーが結婚して、ここを止めてしまったので近くの孤児院から新しく雇い入れたのです。マーサが14才、サガンが12才になります。二人はとてもいい子でよく働いてくれます」

「マーサです。宜しくお願いします」

「僕はサガン。動物が好きでジョンさんに馬の世話の仕方を教わっています」

「そう、宜しくね。私はエル。そしてアレクとロン。三人とも秋分にはまた出て行ってしまうけど、しっかりこの家を守ってね」


エル達はクロック達をジョンとサガンに託し、家の中に入って行った。


「ああ、マリー、これは土産だ」とアレクは何もない空間からサモンの干物を出してマリーに渡した。その様子を見て、マーサがビックリしている。

「ああ、アレク様は魔法使いなのよ。これも空間魔法?って言うのかしら」

「空間に自分用の袋を持っているもんだと思ってくれていい」

「そうなんですか。なんかすごいですね」

「じゃあ、夕食はサモンを使った料理にしましょう。ええとマーサ、裏庭にラモンの木があるからいくつか実を取ってきてくれる?」

「はい、分かりました」

「エル様達はお疲れでしょう。お部屋はそのままにしてありますから上がって休まれますか」

そこでロンが口をはさんだ。

「僕、お風呂に入りたい」

「そうだな、俺も汗と埃にまみれているから風呂がいいな」

「では、ジョンに言ってすぐ用意させましょう」


裏庭にラモンの実を取りに来たマーサは独り言を呟いた。

「魔法使いって。もしかしてあの大蜘蛛を退治したという魔法使い様?エル様もとても美しい方だしロン様もとても綺麗な方だし。私、すごい方達のおうちに勤めているんだ」

マーサはそんな方達のお側ににいるなんて、なんて自分は幸運なんだろうと密かに快哉を叫んでいた。


一方、サガンは見たことも無い立派な軍馬にあっけに取られていた。

「おい、サガン、何ぼんやりしている。俺はクロックとクロムを連れて行くから後の2頭を頼む」

「あ、はい。でも、すごい馬ですね」

「ん、クロックか。そりゃあ、この国でも1,2位を争うくらいの馬だ。しっかり世話しろよ」


サガンは厩に繋がれてからもクロックを惚れ惚れ見つめるのだった。









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