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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第九章 悲しみの葬送
281/331

281. 激戦の末 ③

地下から抜け出したケイダリア公は近衛騎士団の兵舎を襲った。皆寝静まった深夜である。いくら屈強な騎士であっても寝込みを襲われてはひとたまりない。しかも相手はアンデット。騎士は見る間にアンデッドに食われていく。騎士の宿舎に護符を貼り付けていないのが盲点だった。アンデッドは聖剣でないとダメージを与えることは出来ない。


騒ぎを聞きつけて数人の騎士が対応したがジリジリと押されていく。そうこうしている内にアンデッド達は王城の中に侵入した。ケイダリア公に率いられたアンデッドを見て王城内は悲鳴に包まれた。メイドや侍女達は急いで護符の張ってある部屋に避難する。駆けつけた聖剣を持った騎士達が防戦するも、相手もアンデッド化した騎士達だ。一進一退を繰り返しとうとう王のいる執務室の近くまで来ていた。


すると彼らが戦っているすぐ側に、魔方陣が現れた。中から聖剣を持った騎士数人と神狼(フェンリル)を連れたアレクが現れる。


「ケイダリア公、ここまでだ」

「アレキサンダー王子!またしても邪魔をするか」

ケイダリア公は不気味な髑髏の口を開け、黒い煙を吐き出した。


アレクはそれを聖魔法でなぎ払う。

「死して尚、己の欲望ゆえに復活するとは。お前はここで消滅させる」

アレクが聖剣を抜いた。近くのアンデッド騎士を一閃する。すると騎士から黒い煙が出て灰になった。


「おのれ、おのれ」

ケイダリア公はアンデッド騎士をアレクに投入して逃げ出した。

「殿下、助太刀いたします」キースがアレクの前に出て聖剣を振るった。

「ここを頼む。俺はケイダリア公を追う」


逃げ出したケイダリア公の前に巨大オオカミとなったセイガがいた。

「ここは通さない」

「死ね」

ケイダリア公から黒い闇魔法が放たれるがセイガはそれを躱してケイダリア公へのし掛かった。

「アレク!」

「セイガ、よくやった。ケイダリア公、最後だ」

アレクは聖剣を逆手に持ち、ケイダリア公の魔石を粉砕する。


声にならない声を上げ、ケイダリア公が消えていった。後には彼が来ていた服が残って居た。


「流石です、殿下」

キースが微笑みながら近づいて来た。

「こちらもあらかた討伐を終わらせました」

「そうか。だがまだ安心できない。セイガ、奴らの残党がいるか確かめてくれ」

「分かった。あ、あそこに一人いる」と言って、セイガが走り出した。


逃げ出した一人押さえ込み聖剣を振るう。すると黒い煙となって消えた。

「後は、地下牢周辺も見てくれ」


結局、地下にいた二人も討伐され、王城にきたアンデッドは全て討伐されることとなった。


「危ないところでした。まさか地下から侵入し騎士団宿舎を襲うなど考えても見ませんでした。危機管理が甘かったのは私の責任です。部下達も何人か失いましたし」

キースは相当落ち込んでいる様子だった。


「俺も、サイード王子の助けがなければここまで完璧に奴らを葬り去ることは出来なかっただろう」

「サイード王子?」

「ああ。カラード帝国の王子だ。闇ギルドに捕らわれ屍食鬼(グール)に変貌させられたが、彼の心は死んでいなかったんだ。奴らの手伝いをさせられていたが、ここに送る人数を減らし、俺にここの状況を知らせてくれた恩人だ」

「その方は今、どちらに?」

「闇ギルドの者達と共に、ケレスで捕えてある。だが彼は屍食鬼(グール)として生きていくことを選ばないだろう」

「そうですか」

「取敢えず俺はケレスに帰る。後の事は宜しく頼む」

「御意」

「セイガ、帰るぞ」

慌ててセイガが戻ったところで、魔方陣が光を放って回り出した。








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