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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第九章 悲しみの葬送
275/331

275. 侵攻準備 ①

翌朝、アレクはセイガとシリウスに聞いた。セイガが妙な人物を見たとのことだから事は急を要する。


「シリウス様、セイガ、例の物の準備は整っていますか」

「充分行き渡るようかなり多目に作ったよ」

「ではサイロン子爵、市庁舎に行く。全職員を呼び出してくれ」

「御意」

「あと、ヴィルヘルムも付いて来てくれるか。職員の中におかしな者がいたら知らせてくれ」

「分かりました」

「エルとウィルは外で見張っている奴らの始末を頼む。ロンは現状維持に徹してくれ」


必要な指示を出したアレクは市庁舎へ向かった。それを見ていた黒いフードの男達の背後に2人の影が降り立った。

「マルタ司教!どうしてここに・・・」男の一人が驚愕の目を見開いた。

「お前達を野放しにしておくことは出来ない」と言ってウィルが男達の一人を刺した。

「グワッ、な、何を・・・」と男は地面に崩れ落ちる。

「マルタ司教、いくら貴方様でもこれは反逆・・・」もう一人も返す刀で斬った。

それを見て逃げだそうとする最後の一人をエルがペンダントの赤い光を投げかけた。

「貴女は聖女様・・・」男は驚愕の顔のまま灰になって散っていった。

エルは死体となった男達を浄化の炎で焼きつくし、ウィルと共に子爵邸へと戻っていった。



市庁舎に着いたアレク達は全職員をホールに集めた。


ヴィルヘルムがその職員達を一人一人見つめる。

「アレクさん、この人とあの人、それとあの人も」ヴィルヘルムが職員を指して言った。その職員をサイロン子爵は前に呼ぶ。何ごとかと見ていた職員達の前で彼は言った。

「この中に怪しい者がいる。彼らがそうだ」

職員達はざわめいた。まさか自分達の中に怪しい者がいたなんて・・とささやき声が聞こえる。


「でも、子爵、彼らはずっと我々と一緒に職務をこなしてきましたが・・」

前列にいた若い職員が疑問を投げかける。そこで子爵は彼らに「今から彼らに聖魔法を掛ける。普通の人間にはなんともないが、彼らがアンデッドだとしたら・・」


そこまで聞いて前に出された四人は逃げ出した。それをアレクが光の拘束魔法で拘束する。そして聖魔法を彼らに掛けた。途端、苦しそうな呻き声を挙げ、辺りに腐臭が漂った。みるみる内に体が溶けていき腐り果てた遺体が転がる。職員達に悲鳴があがる。


「見ての通りだ。奴らは人の肉を喰らい本人とすり替わる。それを阻止するために諸君に協力して欲しい」とアレクは声を張り上げた。

「ここに聖魔法の護符がある。皆で手分けして各家々のドアに張って貰いたい。今夜か明日の晩にでも奴らの侵攻があるやも知れぬゆえ、急を要する。そして護符を張ったら外出を控えるよう説得してくれ」


護符を手にした職員達が飛び出していったのはそのすぐ後だった。



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