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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第八章 過去の亡霊達
265/331

265. ケレスの闇 ④

「つ、通常業務ですか」

「メーン隊長、俺達が勝手に見て回ると困ることでもあるのかな」

「い、いやそんなことはございません」

「では通常業務に戻ってくれ」


メーン隊長は部下を伴いながら通常業務に戻っていった。


それを目で追いながらアレクはヴィルヘルムに囁いた。

「彼らの中に『人ではない者』の気配はあったか」

ヴィルヘルムは首を振って答えた。

「いいえ、そういう気配はありませんでした」

「そうか。それならばいい。エル、行くぞ」



サイロン子爵はケレスに赴任する前にケイダリア家についてかなり調べていた。ケイダリア伯爵とはケイダリア公爵家ではなし得ない裏の仕事を一手に引き受けていた家だ。伯爵位は一代限り。仮に子供が出来たとしても他のケイダリア一門へ養子に出された。当主は公爵家から当主になれなかった者から選ばれる。


アレクはサイロン子爵からケイダリア伯爵邸への調査をする前にこの話を聞かされた。つまり裏家業の邸に入るのであれば十分にトラップ等に注意する必要があるということだ。警備隊の兵士たちもエントランスより邸の奥へは入らない。それを踏まえた上でアレクは隊長に強く要請したのだ。



エントランスの正面には広い階段があった。アレク達はこの階段を上りながら歴代伯爵の肖像画を眺めていった。


「はあ~、一貴族の分家とはいえ立派なものですね」

ヴィルヘルムは歴代の肖像画を眺めながら感心している。

「それだけ悪さをしてきたってことも言えるな」

アレクはケイダリア家に関しては辛辣である。


2階にはサロンや図書室が有り、その奥に執務室があった。扉を開けて中に入ってみる。この部屋も調べ尽くされたのかガランとしている。正面に大きなデスクがあり、その横にはカラッポな本棚がいくつか並んでいた。エルが近くにあったソファに座ろうとした時だった。


「エル!そこから離れろ」とアレクが怒鳴った。


エルが慌てて避けると、天井から針が降って来た。毒針だ。アレクは天井の人の気配を探ったが気配はない。恐らく何らかのトラップが発動したのだろう。

「ううっ、心臓に悪い」ヴィルヘルムはウィルの手を握ってそう言った。


アレクは更に気配を探っていたが特に異常はなかった。


2階にはあと客用の寝室がいくつかあったが特に問題はなかった。


アレク達は3階に歩を進める。3階は主に寝室だ。子供部屋もあった。


「ケイダリア伯爵は子供はいないはずだが・・全て養子に出していると聞いている」

扉を開けて中に入ったアレクは首を傾げた。


子供部屋には絵本や図鑑、積み木や人形など子供が喜びそうな物が置かれている。エルが絵本を手に取って開いてみた。

「アレク、これを見て」

エルはアレクを呼んで、絵本の中身を見せた。







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