259. ヴィルヘルムとの再会 ②
「勿論、僕に出来ることはなんでもします」
「ありがとう。実はこの国は以前の騒動で困ったことが起きている」
「困ったこと?」
「事は建国まで遡るのだが初代の遺言で、弟子である双子の内金髪のニールではなく銀髪のオットーを王位につけるという約束がなされたが金髪ニールはその約束が気に食わず、ケイダリア公と組んで銀髪のオットーを追い出した。以来王家で金銀の髪の双子が生まれたが、ケイダリア公は報復を恐れ、金髪の子は王位につけ、銀髪の子を暗殺してきた。それでケイダリア家は絶大な権力を手にしてきたんだ」
「え、それじゃあ」
「そう、俺も暗殺されそうになったんだ。だが俺は生き残った。そしてケイダリア家は今までの王家に対する罪で失脚、一族郎党処分となったのだが、ここへ来てそいつらがアンデッドとして復活してきている」
「アンデッド・・・」
「そこでヴィルヘルム、君は蜘蛛が寄生した人を見分けられたよな。アンデッドかどうかも見分けられるんじゃないか?」
「分かりません。もし見分けられるなら是非お手伝いさせて下さい」
「ありがとう。俺達はこの後、墓地へ行って彼らの遺体がどうなっているか調べてくる。もし彼らの遺体がない場合、君に協力を頼むかも知れない」
「分かりました。連絡まっています」
「アレク、貴方にそんな事情があったなんて」
「俺は金髪の兄のスペアとして育てられてきた。10歳の時に馬が暴走して死にかけた。というか死んだんだな。で俺がその体に入ったって訳。馬が暴走したのは奴らが耳に蜂を仕込んだため。その前にアヘンで意識を持って行かれてたがな」
「そんな。酷い。子供にアヘンだなんて」
「もとより殺すつもりだったしな。銀髪の子は長生きしない。この王家ではそれが普通になっていた」
「お母様はどうしたの」
「母はケイダリア家の人間だ。銀髪の子を憎んでいたな。俺がこの体に入った時、この子の記憶は一切なかったよ。それで苦労もしたんだけどね」
「アーサー王は・・」
「父は俺の様子がおかしいと感じて側近を付けてくれたが証拠がなかった。王宮の侍医が関与していたからね」
「でも俺が生き残ったのが計算外だったのだろう。焦った奴らは父にまで手を出した。そこで今までの悪事がばれて処刑された。とは言っても貴族だからね。毒杯を賜った。それがまずかったのか・・アンデッドになるとはな」
「ねえ、アレク、ケイダリア一門って結構人数いるんだろ?」とセイガが聞いてきた。
「ああ。1000人はくだらない」
「うわあ、大仕事だねえ。でもそんな人数がアンデッドになんかなっていたら大事だよ」
「だから墓地に行って確かめる必要がある。もしアンデッド化していたら俺はすぐにドワーフの村へ行き聖剣を作って貰うつもりだ」
「昨日見た、貴族の服をきた骸骨、あれケイダリア一門なんだろ」
「ああ。子爵だった男だ」
「これってもう対アンデッドとの戦争なんじゃない?」