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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第八章 過去の亡霊達
254/331

254. 幽霊屋敷の怪 ③

二人の子供は話し終わったと思ったらすぐにアップルパイに手が伸びていた。

「うめえ、俺こんなの初めて食べた」

「まだ沢山あるから食べる?」とエルが聞くと、口一杯にアップルパイを頬張りながら頷いた。


エルが微笑みながら空間からアップルパイを取りだした所をみた少年は目を丸くしている。

「姉ちゃんは魔法使いなのか」

「ええ、そうよ」

「そしたら父ちゃんと母ちゃんを捜してくれないか。俺なんでもする」

妹のリナと呼ばれた幼児もアップルパイを手に待ち頷いている。


「お前達の両親がいなくなったのはいつ頃だ?」

「えっと、10日前。旦那様が怒って屋根裏に来て、父ちゃんと母ちゃんがいなくなったって言ったんだ。ここには置いとけないっていって追い出された。それで夜になって裏口からキッチンに入って残り物を盗んで屋根裏に隠れた」

「その時変な音とか聞かなかったか」

「ううん、別に」小さな少年は首を振った。

「ところで、お前の名前はなんという」

「俺はビル、そして妹はリナ。母ちゃんは子爵様に使えていたメイドのアンナ。父ちゃんは料理長のテリーだ」

「それじゃ子爵家の後に入った商人一家は」

「そんな奴知らねえ。あ、でも旦那様が引っ越されたあと変な奴らが来たな」

「変な奴?」

「うん。俺ら屋根裏部屋に隠れていたから姿は見てないんだけど、2階の廊下をやたらと歩き回っていた。ドタドタうるさかったよ。それでここにいたら不味いって思って音が聞こえなくなってから裏の物置にいたんだ」

「そうか。ところでお前は幽霊をここで幽霊を見たか」

「なんだいそりゃあ。俺達、ここで生まれてからそんなもんみたことねえや」

「この邸は『幽霊屋敷』って呼ばれてるんだぞ」

「ウソだろ。確かに母ちゃん達いなくなったけど」

「お前達が見なかったという商人一家も全員いなくなったそうだ」


「ところでお前ここで働く気はないか」

「うん、やるよ。これでも子爵様に言われて馬の世話をしてたんだ」

「そうか。じゃあそれを頼もう。俺はアレク。そしてエル、セイガ、ロンだ。俺達はいなくなった人達の調査でここに来た。もう裏庭の物置にいかなくていいぞ。食事も一緒にとるといい」

「ありがとう。早速馬を見に行くよ。馬の名前は?」

「黒くて大きい馬がクロック。茶色で大人しそうな馬がクロム。黒くて少し小さいのがクイック」

「わかった。リナ食べ終わったか。厩にいくぞ」


「ねえ、アレク、あの子達、商人一家は見てないようだけど」

「ああ。でも変だな。俺達がここに入った時、家の中は生活していた雰囲気が残っていた」

「じゃあ、あの子達が嘘をついていると」

「それもまだ分からない。とにかく様子をみよう」


「ねえ、エル、お茶入れ替えてくれる。冷めちゃったよ。それにアップルパイも」

セイガだけは正常運転だ。











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