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黄金の道   ~エルとアレクの物語  作者: 長尾 時子
第八章 過去の亡霊達
249/333

249. シリウスの帰還

彼らが館について3年の月日が流れた。エルは外見は変らないけれど、精神的には大人の女性として成長していった。そんなエルをアレクは戸惑いながらも見守っている。


ある日シリウスが獣人国へ帰ると言い出した。

「エル、アレク、もうお前達に教えることはない。後はお前達自身で精進して欲しい」

「シリウス様、まだまだ貴方の教えが必要だと思っています」

「そう言ってくれるのはありがたいが、僕にも獣人国を見守ると言う役目があるからね。でも、そうだな、ここの暮らしは悪くないから、ちょくちょく遊びにはくるかな」

「とか言って、シリウス、都合をつけては戻ってくる気だろう」とセイガはジト目でシリウスを見た。



「コフッ、まあそれは置いといて魔王のその後も気になるしね。獣人国を回って見るつもりだ」

「そうですね。あれから随分経ちますが、動きがないのは気になりますね」

「まあ、奴らは時間なんてあってないようなもんだからな。3年なんて休みのうちに入らんだろう。でもそろそろ動き出しそうな気がする」

「それは直感ですか」

「まあそんなもんだ。ところでお前達はどうする?」

「せっかく転移魔法が使えるようになったので、一度シュトラウス王国に帰ってみようかと考えておりました。それに、ウィルやヴィルヘルムのことも気になりますし」

「そうか。そういえばウィルは君と同郷だったな。詳しい話が聞けたら、僕にも聞かせてくれ」

「分かりました」


「では、行くかな」シリウスは杖を挙げた。魔方陣が現れる。魔方陣が回り出し、そして消えた。



「行ってしまったね」

アレクはエルを見た。エルは微笑みながらアレクを見て「寂しい?」と聞いた。

「うん、ちょっとね。俺達もシュトラウスへ帰る準備をするか」

「その前に、お腹空いたよ」とセイガが吠えた。

「ごめんごめん、朝めしぬいちゃったね」

「もう、昼過ぎだよ。ロンも空いたよな」

「うん。僕達が伸び盛りだって忘れたの」

「じゃあ、戻ろうか」

皆は館に向かって歩き始めた。早春の風がさあっと吹いていき桜の花びらを舞いあげていく。アレクは足を止めてエルを見る。そしておもむろにエルの髪に手を伸ばした。


「花びらがついている」と言ってそれを摘まんだ。

「えっ」と言ってエルはアレクを見上げて顔を真っ赤にした。

アレクは目を逸らして「昼飯は何を食おうか」とセイガにいうと「僕、唐揚げがいい」といいロンも「僕も」といって2人とも館に向かって走って行った。


そんな2人を執事のマルコムが笑顔で向かい入れた。その後ろをアレクとエルがゆっくりと歩いていた。








アレクとエルがちょっといい感じになってきました。

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