235. 彼らの残した物 ③
「それでは皆様、お部屋にご案内します」
執事のマルコムがアレク達一行を連れて2階へ上がる。
「お部屋は6部屋ありますので、お好きな部屋をお選びください」と言って手前のドアを開ける。
「どれも部屋の造りは同じでございます」
部屋は割合こじんまりした部屋で、ベッドの他にデスクがあり奥にはクローゼットが備え着けられていた。中央には丸いテーブルと4客の椅子がある。各部屋には洗面所と浴室が完備されていた。
「2階には奥に図書室がございます」
マルコムは廊下を進み奥の扉を開く。そこには天井まで届く大きな本棚がいくつも置かれ本がびっしりと詰め込まれていた。ちょっとした図書館くらいの大きさがある。
「魔法書の蔵書がすごい」シリウスが感嘆の声をあげる。
「僕は何年でもここにこもっていられるよ」
「2階は以上でございます。1階には居間、ダイニングと娯楽室、厨房と従業員の控え室があり、地階には大浴場と訓練室、倉庫があります」
「外は、牧場、畜舎があり、まだ果樹園、畑、が庭園の先にございます。現在は雨が降っておりますが、晴れた時には散策されても良いのではと思います」
「実はここに来るときにトンネル内に馬を繋いでいるのだが」
「ああ、そうでした。厩は畜舎の隣にありますので雨が止んだらご案内いたします」
「以上がざっとこの館をご説明いたしましたが、この周りには結界が張ってあり外部からの侵入は出来なくなっております」
「用事があるときはどうするの」
「皆様のお手元にこれをお渡しいたしますのでここを押してもらえば私が参ります」と言ってマルコムは突起のついた小さな装置を各人に渡した。
「ねえ、僕、お腹へったよ」
「皆様のご昼食はダイニングにご用意しておりますので参りましょう」
ダイニングに着くと既に昼食が並べられていた。各自、席につき食べ始める。
「思ったより過ごし安そうだ」
「照明も明るいし、ってこれ魔法でしょ?」
「ああ、そうみたいだな」とアレクは前世の記憶を思い出しながら頷いた。
ーーー照明は全部LEDか。
「快適に暮らしていけそうね。岩山の中なんてどんな所かと思ったけど」
「雨が上がったら、クロック達を厩舎に入れがてらその辺の散策もしようか」
「あっ、暖房はどうなっているのかな。これから冬に向かうんだけど」
セイガがマルコムに尋ねるとマルコムは微笑みながら答えた。
「暖房はセントラルヒーティングを使用してます。その他にも暖房器具も用意しておりますので、必要な際にはお申し付けください」
「なんかいたれりつくせいだね」