232.トラップ解除
夜明け前、アレク達は三叉路に向けて出発した。今日は秋分点である。鍵が果たして『黄金の道』を指し示すのか皆、興味津々だ。
「あっ、三叉路が見えてきた」セイガが尻尾を振りながら叫んだ。
丁度その時、秋分点の最初の日が射した。と、見る間に道が輝き出し『黄金の道』が現れた。
「エル、鍵はどっちを指している?」
「えっと、左。『黄金の道』の方へ行くみたい」
「やっぱりな。よし、『黄金の道』に沿って進んで行こう」
見晴らしのいい草原を馬車は軽快に進んで行く。向こうに森が見えた。
「ストップ。この先の森に入ったところにトラップがあるんだ」
「悪いがアレク、もう一度ゴーレムで実験してくれないか。どう言う魔方陣がでるか確かめたい」
「分かりました。そうだな、ここで休憩にするか。エル、クロック達を放してくれないか。久々の草原だ。彼らも喜ぶだろう」
「分かりました。ほら、クロック、クロム、クイック、遊んでおいで」
エルが馬車から放してやると馬たちは喜々として走り去った。それを見送ってエルが振り返るとアレクがゴーレムを3体作っていた。そのゴーレムを歩かせ森に入っていく。森に入って100mくらいの所でいきなり地面が光り魔方陣が出た。
「これか」
「転写します」
アレクは持ってきた紙に素早く転写する。光が収まりゴーレムは見えなくなった。
「これが例の魔方陣です」と言って、アレクはシリウスに転写した紙を見せた。シリウスはその魔方陣をじっくりとみたが、「うん、これなら解除可能だ」といい、早速杖を挙げた。
「転送解除」と彼が言うと、魔方陣が現れ、更に重ね掛けるように新たな魔方陣がその上に現れて光った。光が収まると何もなかったように『黄金の道』が続いている。
「これで解除出来たと思うが、もう一度ゴーレムをここに通してくれないか」
「分かりました」
アレクは再びゴーレムを作り、魔方陣のあった場所を歩かせた。しかし何も起きずにゴーレムは素通りしていく。
「やりましたね」
「ああ。これでこの先へ進める」
馬車に帰った彼らは、クロック達を呼び戻し再び馬車を走らせる。森に入ったが何ごともなく馬車は進んで行った。『黄金の道』は輝きながら先に続いていた。
「さて、ここからは未知の領域だ。気を引き締めて進んで行こう」
馬車は鬱蒼とした森の中を走って行く。『黄金の道』が輝くのは今日1日だけ。彼らは出来るだけ距離を稼ぎたかった。