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216. 国王への書簡 ③

書簡を読み終えると国王アーサーは、側に控えているキースを呼んだ。

「至急王都にある各門へ伝えよ。アインステッドから来た者は別棟にて隔離を実施する」

「アインステッドでなにかありましたか」

「これを読んでみろ」


キースは国王から渡されたアレキサンダーからの書簡を読んだ。

「これは・・・  急ぎ対処いたします」といって王の執務室を後にした。


程なくして王都からカレン群への街道に関所が設けられた。アインステッドからの旅行者を隔離するためだ。




アレクが捕まえた男はすぐにそばにいた役人によって隔離施設へと送られた。


「エル、お前蜘蛛が寄生している人が分かるのか」

「うん、中にいる蜘蛛が見えるというかなんというか」

「凄いじゃないか。これで最大の懸念事項が払拭される」

「今日はシリウス様と遺体処理に向かうんだが、エルも来てくれ」

「わかった」


アレク達一行と子爵は役人の案内で遺体処理をした現場に向かった。


「ここに遺体を集めて焼却処分をし、その後、遺骨を埋めたのですが・・」

「申し訳ないが、再度、掘り返してくれないか」

「分かりました」

兵士がばらばらと掘り返しの作業を始める。暫く掘り進めていくと「うわあ」という悲鳴と共に兵士達が穴から出てきた。穴から夥しい数の子蜘蛛が出てくる。

「ロン、結界だ。結界で覆ったらブレスで焼き尽くせ」

「キュイ」

ロンがすかさず空中へ舞い上がり結界で周りを覆い、ブレスを吐きかけた。子蜘蛛は声にならない声を上げ消えていく。

「やはり生き残っていたな」

「エル、この穴の中に蜘蛛の気配はあるか」

「ううん、大丈夫」

「よし、次へ行こう」

アレク達一行は街外れにある隔離所へ向かった。


臨時で作られた隔離所には数人の患者が拘束されていた。皆、うつろな顔をしてしきりに足をばたつかせている。

「全部で6人か。エル、この中で助けられそうな者はいるか」

エルは悲しそうに首を振った。「皆、頭の中に蜘蛛が巣くっている。残念だけど無理みたい」

「そうか。では蜘蛛が逃げないようロン、ここに結界を張ってくれ」

「キュイ」

「早く奴の本体を見つけなければ被害が多くなるばかりだ。シリウス様、何か奴に関することで情報はありませんか」

「この街の近くに魔石の鉱山はないか」

「はい。この街の南側、あの丘の向こう側に魔石の鉱山があります」子爵が答えると、シリウスは「それだ」と言及した。

「奴は子蜘蛛を増やすため、常に魔石を食っている。恐らく魔の森の魔石を喰らい尽くして新たな魔石を得ようとしているに違いない」

「そうなると奴がこの街に移動してくる可能性が高いと」

「そういうことだ。今は、子蜘蛛を使って様子を見ているのだろう」


子爵は顔を引きつらせた。

「今の時点で『踊る病』のこともあり、住民を避難させる訳には参りません。どうすれば・・」


「エルに住民を診断して貰おう。診断が済んだ住民から順に避難を開始する。エル、大変だがやってくれるか」

「この街は私の故郷。頑張ってみせる」





















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