表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/329

200. 戴冠式 そして・・・

それから一週間後、ベアレスは歓喜につつまれた。街から城へ行く坂道に大きな幟旗が幾本も立てられ獣王国中の貴族の馬車がひっきりなしに通っていく。その様子を見ようと沿道には沢山の人々が詰めかけた。



城では着々と式典の準備が進められていく。セイガとシリウスは託宣の間でベアトリスと打ち合わせに入っている。アレク達はいくつかある控え室の一つでヴィルヘルムとウィルに会った。


「やあ、ヴィルヘルム、それにウィル、元気だったかい?」

「アレクさん、戻ってらしたのですね。僕ね、ウィルと約束したんだ。国に帰ってユークリッド王国を復活させようって。そのためにはいろいろ勉強しなきゃいけないし、強くならなきゃいけないし、やることがいっぱいあって目が回りそう」

「ウィル、あなたそれでいいの。ユークリッド王国を復活させるって・・・」エルが驚いてウィルに声を掛ける。

「はい。エル様。私には時間は有ってないようなもの。ここでヴィルヘルム様にしっかり学んで頂き、国の主として立って頂きたいと思います。幸いにもベアトリス様には良くして頂いておりますので、もう逃げ回ることはしないつもりです」

「わかったわ。私達も協力する。ヴィルヘルムが帰る頃までに地ならしをしなくちゃね」



ドーンとドラの音が大きく鳴った。いよいよ戴冠式の始まりだ。控え室にいた各国の貴族や要人が王の間へと流れていく。アレク達もその流れに身を任せた。


王の間の一段と高いところにセイガとシリウスがいる。セイガは人間型を取って居らず全身が銀色の巨大なオオカミとなっていた。


シリウスが声をあげる。

「これより獣人国王の戴冠式を行う。ベアトリス前へ」

「はい」正装を纏った女王ベアトリスがシリウスの前に跪く。

「その方、この獣人国を私利私欲に走らず、公平にまとめ上げていくことを誓うか」

「誓います」

「獣人国4カ国は皆平等、互いに争わず共存共栄の理にかなった政をするように」

「4主要国の者で異議のある者はこれへ出よ」 

四人の大使が唱和する「ございません」


そしてシリウスは台の上に乗っている宝冠を持ち上げベアトリスの頭に乗せた。

「ではこれにて賢者シリウスと神狼(フェンリル)セイガの名のもとに熊族女王ベアトリスを獣人国女王ベアトリスとなることを宣言する」


会場中がわあっという騒ぎに飲まれる中、セイガに変化が起こった。キラキラと光出したかと思えばその姿は消えていた。人々はどよめいたがシリウスが「静かに」といい「神狼(フェンリル)はオオカミ族の緊急事態のためこの場からいなくなった。詳細は後日報告しよう。戴冠式は終わった。皆、この吉日を大いに祝おうではないか」といい、大広間では音楽が鳴り始め、パーティーが開催された。




「シリウス様、セイガはどこに」アレクはシリウスに近寄り囁いた。

「恐らくオオカミ族の村で余程の事が起きたんだろう。もう少し、ベアトリスと打ち合わせをしたら僕らも行こう」シリウスは慌ただしく女王と別室に行った。


アレクは言い知れない不安を感じた。セイガがいきなりいなくなる事などなかったからだ。エルとロンも不安そうにしている。この後、大災厄の再来ともいえる大惨事がくることを誰も知らない。
















祝200回連載です。そして第五章が終了しました。ここまで読んで下さった皆様ありがとうございます。

次章からは獣人国を離れオオカミ族のもとへ行きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ